近年、「牛乳は体に悪い」説が取り沙汰されている。牛乳に含まれる脂質は、中性脂肪やコレステロールを増やす飽和脂肪酸で、現代人は飽和脂肪酸のとり過ぎといわれるからだ。また、乳糖(ラクトース)が多く含まれているのも「悪い説」を後押しする。
牛乳は体にいいという従来の意見と真っ向から衝突しているのが現状だ。果たして牛乳は体にいいか? 悪いか?
『アンチエイジング・バトル最終決着』(朝日新書)という話題書を上梓した坪田一男・慶應義塾大学医学部教授(日本抗加齢医学会の理事長)は、こう結論づける。
「血糖値やコレステロールを考えれば、飲み過ぎはよくない。しかし、全国10万世帯を対象に食品の摂取状況とその地域の死亡率の関連を調べた研究結果によれば、現実に牛乳を飲む人のほうが寿命が長い。
また、すべての病気の死亡率をもっとも下げてくれるのが牛乳であるとの結果が出ているので、乳糖不耐症(乳糖がうまく分解できず、消化不良や下痢などを引き起こす症状)でなければ飲んだほうがいいとはいえます。
しかも牛乳を飲むと、乳糖が腸内細菌で発酵されて水素ができ、老化やがんの原因である活性酸素を中和してくれる。流行りの水素水を飲むよりも、牛乳のほうが体内で多くの水素を生成するので、お得です」
※週刊ポスト2014年4月18日号