「戒名はいらない」「散骨して誰にも知らせるな」「三國連太郎のままで逝く」──息子である佐藤浩市(53才)に、こう言い遺していたという三國連太郎さん(享年90)。昨年4月17日に静岡県沼津市の自宅で行われた葬儀では、位牌には戒名でも本名の「佐藤政雄」でもなく、「三國連太郎之霊位」とだけ綴られ、密葬形式で行われた。だが佐藤は、「散骨」はできずにいた。
「A子さん(三國さんの妻、64才)は遺言通り、散骨する方向で考えていたんですが、佐藤さんが“納骨したい”と譲らなかったんです。自宅から近い(静岡県)松崎には三國さんの両親が眠る代々のお墓があるので、A子さんは“それなら代々のお墓にしましょう”と提案したそうですが、これについても佐藤さんは“遠すぎる。東京に新しくお墓を建てたい”と言ってきかなかったんです」(三國家を知る人)
A子さんは、三國さんの4番目の妻。佐藤は3人目の妻・B子さんとの間の子供だ。
松崎の墓に入れるのが自然だと考えていたA子さんは、「それではお任せします」と、佐藤に三國さんの遺骨を任せるしかなかった。
「A子さんは泣く泣く決断したと思いますよ。東京に佐藤さんが新しくお墓を建てることになれば、そこには佐藤さんのお母さんも入る可能性も高いでしょうし、そうなれば自分はその墓に入ることはできないでしょうからね。でも、三國さんの納骨の問題で、それ以上佐藤さんと言い争うのも、三國さんが喜ばないだろうとA子さんは思ったんですよ」(前出・三國家を知る人)
それまで気軽に連絡を取り合う仲だった佐藤とA子さんだったが、次第に疎遠になっていった。佐藤の呼び方も「浩市」から「佐藤さん」に、佐藤の子供を「孫」と呼ぶこともなくなった。
一方、遺骨を持ち帰り、都内で墓地を探し続けていた佐藤だが、急転、松崎の墓に納骨することを決めていた。しかし、それでA子さんの「三國と一緒のお墓に入りたい」という願いが叶ったわけではなかった。
「実は代々のお墓に決めたのは、A子さんの希望を汲んだからではなく、単純に都内で良い場所が見つからなかったからだそうです。お墓の管理もすでに佐藤さんがすることに決まっているんです。彼女はもう三國さんと一緒のお墓に入ることを諦めています」(A子さんの知人)
墓に誰を納骨するのか──の権限は墓守にある。今回のケースでいえば、A子さんが納骨については佐藤に任せたこともあり、実の息子である佐藤ということになる。しかし、それがA子さんに非情な現実を突きつけた。
A子さんは三國さんの正妻であり、彼と同じ墓に入ってもおかしくない。しかし、佐藤が主導権を握ったことで、事態が複雑になっていたのだ。
「佐藤さんは現在、自宅で実母の介護をしているんですが、母子の絆を考えれば、きっと佐藤さんは実母と同じ墓に入りたいと思うはずです。三國さんと実母は離婚したので他人となりますが、墓守である佐藤さんにとっては実母ですから、彼が将来的に同じ墓に入りたいと思えば実母を三國家(=佐藤家)の墓に入れることは可能なんです。A子さんは佐藤さんの母親を思う気持ちを考えて、再び涙をのんだという状況なんです」(前出・A子さんの知人)
※女性セブン2014年4月24日号