国際情報

中韓の反日団体ネットワーク 国際世論をも動かす影響力持つ

 今年3月、戦時中の日本企業による労働者の強制徴用に対する損害賠償訴訟が、中国で初めて裁判所に受理された。
 
 そこで注目を集めたのが、担当弁護士の中国人女性・康健(カンジェン)氏だ。彼女を韓国紙は、〈20年近く慰安婦と強制徴用など日帝侵略による被害を告発し、日本の法律的責任を粘り強く追及してきた「歴史専門弁護士」だ〉(韓国・中央日報4月1日付)と称賛する。康健氏は、本誌の電話取材にこう強弁した。

「強制連行された中国人は旧三井鉱山と旧三菱鉱業だけで1000人以上、それ以外も含めたら数千人はいる。中国政府が賠償権を放棄していても、国家財産と個人の財産が同じだと思いますか?

 個人の住宅と国家の建物は違うでしょう? これから始まる裁判で、強制連行された人たちが敗訴する理由がないじゃないですか。国際的な大企業が、(近い将来下される)裁判の結果を無視したら国際社会で大変恥をかくことになり、企業イメージを傷つけることになりますよ」

 実は彼女は「第二次大戦中国人労働者連合会」という強制徴用の被害者をまとめた“反日団体”の関係者である(本人は会員ではなく弁護士として参加していると説明)。今回の訴訟は、同団体と、韓国の反日団体である「太平洋戦争被害者補償推進協議会」に参加する「歴史専門弁護士」たちが連携したことで実現した。

 この「歴史専門弁護士」とは、韓国独特の言い回しで、日本の歴史認識問題に関する訴訟を専門に請け負う弁護士のことだ。4月3日には、中国で中韓の強制徴用被害者の「連帯方針」を議論する集会が開かれ、「正義回復のため協力しよう!」とエールを送り合っている。

 この問題に象徴されるようにいま、中韓の反日団体の連携が進んでいる。彼らの多くは以前から「反日」を叫んできたが、これまで日本政府は彼らの影響力など大したことないと軽視してきた。

 しかしいま、こうした工作や執拗な宣伝活動が“実を結び”、日本は歴史認識問題で世界から孤立し始めている。その象徴が、靖国参拝や河野談話見直しに対するアメリカやヨーロッパでの批判の高まりである。

 私たちが知らぬ間に、反日団体の活動とネットワークは拡大を続け、国際世論を動かすほどの影響力を持つに至ったのだ。

※週刊ポスト2014年4月25日号

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