現在、獣医療の世界では得意分野を重点的に診る「専門的な獣医」が増えているという。つまり、ペットの症状に合わせて、複数のドクターに診てもらうことがあるというわけだ。
獣医療では「1次診療」と「2次診療」がある。日頃からお世話になる町の獣医(ホームドクター)が1次診療、原因がわからない難しい病気になった時に高度な検査や治療を行うのが2次診療だ。
いざという時、2次診療を利用するのにも重要となるのが、日頃からお世話になるホームドクター。犬の名医選びの基本は、ホームドクター選びともいえる。そこで、信頼できるホームドクターの条件を、『全国から飼い主が駆けつける! 犬の名医さん100人データブック』編集部の三浦和也編集長に挙げてもらった。
●ホームドクターに必要な7か条
【1】相性が合って、何でも相談できる
【2】幅広い知識と、ある程度の高い技術がある
【3】週1回の通院でも無理のない距離にある
【4】必要な場合に2次診療を紹介してくれる
【5】2次診療後の継続的治療も行える
【6】治療法や料金について、納得できる説明をしてくれる
【7】病院内が清潔で、嫌なにおいがしない
「まず大切なのは【1】の話をしていてフィーリングが合う、相性のよさ。獣医師は、犬を診るだけでなく、飼い主さんと会話をすることで病気を見つけたり、治療方針を立てたりします。相性が合えば、定期的に通院するのも苦にならず、何でも相談できる関係につながるのではないでしょうか」
話しやすさでは【6】が、通いやすさでは【3】にも通じる。
「【6】も大切なポイント。飼い主さんの飼育環境や経済状況、気持ちを勘案しない治療では、のちに後悔やトラブルとなる可能性があるからです。【3】のベストは、散歩のついでに立ち寄れる距離。ちょくちょく通院できれば、犬が病院やスタッフに慣れ、治療のストレスが軽減されるメリットもあります」
飼い主のさまざまな相談に答えられるのは【2】があってこそ。日頃の検査や治療を任せる以上、ある程度の高い技術が必要とされるのだ。
「治療に対する丁寧な説明や選択肢の提示のしかたなどで、技術や知識は推し量れると思います。【4】と【5】が、高度な獣医療を受けるためのポイント。ある2次診療医が、“優秀なホームドクターであるほど、自分の診断に自信があるので、早い段階で2次診療へ紹介できる”と言っていました。紹介先の情報やネットワークを持っていることは、勉強熱心さの表れといえるでしょう」
獣医師本人に会わずとも、病院の佇まいで、意識の高さがわかる。
「【7】は基本中の基本。意識の高いホームドクターほど、衛生管理がしっかり行き届いています。犬と猫で診療スペースを分ける、1頭ずつ診療時間を変えるなど、院内感染を防ぐ仕組みを導入しているところもあります」
とはいえ“信頼関係”はお互いが築き上げるもの。性格が合うと感じた獣医師には、飼い主側も心を開いて、何でも相談できる関係を構築する努力をしよう。
※女性セブン2014年4月24日号