部屋に置くだけでインフルエンザ対策! という触れ込みで人気を集めてきた空間除菌・消臭剤が、ドラッグストアの店頭から消え始めている。消費者庁がこの3月、「根拠不充分」と待ったをかけたからだ。
「問題となっているのは、二酸化塩素を利用した空間除菌をうたう17社の消臭剤。確かに、殺菌効果があるという実験データはありますが、それは生活環境とかけ離れた限られた条件、すなわち密閉された空間だったり、実際の商品よりも二酸化塩素濃度を高めて実験していた場合。したがって景品表示法に基づき表示を改める行政指導を出しています」(消費者庁表示対策課)
17社の商品のうち、一般的によく知られているのは、置くだけでウイルス除去できるとしている大幸薬品の「クレベリンRゲル」や、「首から下げるだけ」の除菌をうたう大木製薬の「ウイルオフバリア」など。
通常の消臭剤は1個400円程なのに、「空間除菌」効果がプラスされると1000円以上に跳ね上がる。「除菌効果が疑わしい消臭剤」だったとしたら、許せない!
ただ、大幸薬品は「クレベリンの主成分『二酸化塩素』は、ウイルス・菌を除去します」と新聞広告などで主張、「効果はあります!」というスタンスを変えていない。
「消費者庁の措置命令は真摯に受け止め、広告表示を改めています。今回指摘されたのは広告表現であり、商品の効果ではありません。今後は、さまざまな条件での実験データを増やし、わかりやすい表現に努めます」(大幸薬品広報部)
しかし、NPO法人「市民科学研究室」の上田昌文代表はこう警鐘を鳴らす。
「密閉空間で高濃度の二酸化塩素を放出すれば、殺菌と同時に、室内にいる人に健康被害を与える恐れもあります。限定的な条件のデータを万能であるかのように宣伝する商品には、消費者も注意してください」
※女性セブン2014年5月8・15日号