政府が検討を始めた「年間20万人の外国人労働者の受け入れ」については、元々自民党の外国人材交流推進議員連盟が2008年にまとめた「1000万人移民受け入れ構想」にある。移民基本法を制定して将来的に1000万人の移民を受け入れるという内容で、提言は当時の福田康夫首相に提出された。同議連は政権復帰後の昨年、「自民党国際人材議員連盟」として再スタートした。議連会長の小池百合子氏に今後の展望と課題を直撃した。
──単純労働者の受け入れは治安上問題が大きいという指摘がある。
小池:特に、建設など単純労働者は期限付きにして、工事が終われば帰国してもらうことを厳格にやらなければいけません。
一方で、日本で研修を受けて医療や介護などの資格を取った能力のある人は働ける期間を長くするなど、日本社会に貢献してもらえるようにする。社会保障の面では相手国との条約を整備し、日本で働くことが不利にならないような制度作りも必要です。働く側も働く国を選択しますし。
──期限付きの労働者では、人口減をカバーすることにはならない。「移民」を入れるかどうかの課題は残る。
小池:「移民」というのは非常に狭い見方です。UAE(アラブ首長国連邦)の人口は約920万人ですが、その8割が外国人。国籍を持つ人は2割です。それは極端な例ですが、人口減少をカバーすることと国籍を与えることは違う。将来の日本をイメージした時、期限付きの出稼ぎ労働者もいれば、日本で資格をとって社会に貢献する国際人材もいるといった多様な社会の姿がありうるのではないでしょうか。
しかし、国際人材であっても、私は地方参政権付与には否定的です。参政権を望むなら日本国籍の取得が不可欠です。アメリカでは市民権を付与する際、星条旗に向かって宣誓させるなど極めて厳格です。国籍付与は、日本に必要な人材かどうか、こちらが厳選すればよいわけです。
──親日的な国ならまだしも、反日教育をしている国から労働者を受け入れるのはリスクが大きい。受け入れる国を選別すべきと考えるか。
小池:国際人材でも中国人比率は高くなるでしょう。ノーリスクとは言いません。しかし、日本が国家として衰退するリスクにも向き合う必要があります。外国の例も参考にしつつ、世界に通用する人材を日本が確保するという決意で臨む必要があると考えます。
※SAPIO2014年6月号