体調が優れなければ、まずは薬を飲んで体を休めるのが鉄則──こんな当たり前の常識に一石を投じる説が登場した。「薬で病気がつくられる」と主張するのは、『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂新書)の著者で、このたび『薬が病気をつくる』(あさ出版刊)を上梓した、薬剤師で栄養学博士の宇多川久美子氏だ。
「健康診断で基準値からはみ出すと、たとえ自覚症状がなくても『患者』と見なされ薬が処方されます。コレステロール値が基準より高いがために、抑制薬を慢性的に飲み続けたことで筋力が低下し、四肢が麻痺してしまった人もいる。薬は、体にとって異物であり、体内で“毒”として作用することもあるのです」(宇多川氏、以下同)
宇多川氏は胃薬とアルツハイマーの関係性を指摘する。体内に入ってきたものが最初に到達する器官である胃には、有害と見なしたものは胃酸で殺菌するという働きがある。
「胃酸を抑えるタイプの胃薬を服用することで胃酸不足による消化不良や、本来胃で殺せるはずの雑菌が生き延びて起こる感染症のリスクが発生します。有害物質が殺菌されないまま胃を通過することで、肝臓や腎臓にまで大きな負担がかかる。消化機能が落ちて太りやすくなる恐れもあります」
また、多くの胃薬に含まれるアルミニウムは、過剰摂取すると思わぬ弊害が起こる。
「問題となっているのは脳への影響です。アルミニウムを摂取しすぎることがアルツハイマー型認知症の一因になっているという説もあります。お酒を飲む前や暴飲暴食した翌日に気軽に胃薬を飲む風潮は、体に負担を強いるばかりです」
※週刊ポスト2014年5月23日号