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愛日台湾男性「台湾に日本が学ぶべき正しい日本の歴史ある」

 かつて日本統治下を生きた台湾人で、春の叙勲で旭日双光章を受章した蔡焜燦(さい・こんさん)氏は、「あの時代の日本には素晴らしい『日本精神』があった。私は“元日本人”であることを今でも誇りに思う」と語る。親日家をはるかに超えた「愛日家」の叱咤激励の言葉を、ジャーナリストの井上和彦氏が報告する。

 * * *
 春の叙勲で旭日双光章を受章した台湾人の蔡焜燦氏はいたずらっぽい笑みを浮かべながら、日本からの客人にこう問いかけることを忘れない。

「日本では、もう『日本精神』が喪われてしまったのではないですか?」

 現在も日本の新聞や雑誌にくまなく目を通す蔡氏は、「息子を叱りつけるような気持ちで、“何をやっているんだ”と怒鳴りたくなることがある」という。

「現代の日本人の精神的荒廃を嘆くあまり、頭に血が上ってしまうこともしばしばです。昨今、日本の警察や医療機関の不祥事、さらには教育現場の荒廃をよく耳にする。かつては台湾を近代化に導き、人々から尊敬を集めた警官や医師、教師たちがなんたるざまでしょうか」

 そんな静かな怒りを聞いて赤面する日本人に、「老台北(ラオタイペイ)」は再びにこやかな笑顔を向け、床を指さしながらこう語る。

「『日本精神』は、ここ(台湾)にはまだ生きています。台湾には、日本が学ぶべき“正しい日本の歴史”がある。ぜひ、それを今の日本人に知ってもらいたい。かつての日本の姿を完全否定する中国や韓国ばかりが日本の隣人ではないのです。今でも『日本精神』を崇敬する隣国があることを忘れないでほしい」

 それは日本外交にも向けられた言葉でもある。韓国や中国の謝罪要求外交に翻弄される現在の日本の姿を予見していたかのように、蔡氏は13年前に著わした『台湾人と日本精神』の中でこう述べていた。

「日本では、自虐史観という虚構が日本人から『自信』と『誇り』を奪い去り、日本を“自信喪失国家”につくりかえてしまった感がある。しかし、それはアジア地域を不安定にさせているばかりか、世界の平和構築の障害になっている。誇りある日本が、アジア地域の安定と平和を担う真のリーダーたらんことを願う」

 日本人が忘れかけた「日本精神」を“逆輸入”することに生涯を捧げ「元日本人」として“母国”を叱咤激励する愛日家―─。蔡氏の叙勲は、日台関係の大きな前進をもたらすとともに、薄れかけた「日本精神」が見直されるきっかけとなるだろう。

※週刊ポスト2014年5月23日号

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