国内

安倍首相支える自民議員11人が「靖国参拝反対」に署名してた

 安倍首相の側近議員らの間で、ある議員がやり玉にあがっている。自民党副幹事長であり、西田昌司参院議員(55)のことだ。西田氏といえば「新・国会の爆弾男」と呼ばれ、民主党政権時代は、国会で閣僚を厳しい質問で追及する姿が大きくメディアにも取り上げられた。安倍自民党の政権奪還の立役者の一人だったのだが──。

「政権復帰後、追及スタイルを発揮する場所がなくなり、存在感は急低下しました。そんな中で保守系議員からは『裏切り者』との批判が上がっているのです」(ある保守系議員の秘書)

 一体、何が理由なのか。西田氏のトーンダウンの背景の一つに、ある宗教団体との関係をみてとる声がある。

「昨年7月の参院選で、西田氏がある宗教団体から推薦状をもらっていたことが足枷になっているのではないか」(同前)

 その「宗教団体」とは全日本仏教会(全日仏)だという。浄土真宗本願寺派や曹洞宗、日蓮宗など、59の仏教教団が加盟し、約7万ともいわれる寺院を影響下に置く伝統仏教宗派の連合団体だ。西田氏の選挙区、京都ではとりわけ強い集票力があるとされる。
 
 もちろん、政治家が選挙に際し、宗教・業界団体などから推薦状を集めるのはさして珍しいことではない。ただし、全日仏の場合は少々事情が異なる、と明かすのはある寺院関係者だ。

「全日仏は推薦を求めた立候補者には、必ず、『総理や閣僚の靖国参拝に反対する』立場への同意誓約書を求めています。西田氏が推薦状をもらったとしたなら、誓約書にサインをしているはずです」

 日頃、靖国参拝支持を公言し、東京滞在中は毎朝、靖国を参拝してから公務をこなすという西田氏が、「靖国参拝反対」誓約書にサインしていたとは信じがたい。
 
 全日仏は選挙の際に誰に推薦状を渡したかを、公にはしていなかった。しかし、本誌は全日仏関係者の内部情報をもとに、西田氏が誓約書にサインしていた事実を確認。さらに、全日仏に取材を申し込むと、事実だと認めたうえで、担当者から次のような説明を得た。

「本会は政教分離の観点などから、長年にわたって総理や閣僚の靖国参拝に反対し続けてきました。過去30数回にわたり、首相官邸などへ抗議文を提出してきた事実もある。国政選挙に出馬する候補者へ推薦を出す際も、希望者へ『総理や閣僚の靖国参拝反対』『原子力発電によらない生き方を求める』などの会の方針を示し、それを理解したという誓約書を返してもらった方に推薦状を出す形にしているのです」

 実は、昨年の参院選で全日仏から推薦をもらい、当選した自民党候補は西田氏のみではない。全日仏は自民党候補12人を推薦し、その中から愛知治郎(宮城県選挙区)、石井みどり(比例区)、鴻池祥肇(兵庫県選挙区)、酒井庸行(愛知県選挙区)、島田三郎(島根県選挙区)、武見敬三(東京都選挙区)、西田昌司(京都府選挙区)、橋本聖子(比例区)、古川俊治(埼玉県選挙区)、松山政司(福岡県選挙区)、溝手顕正(広島県選挙区)の11人が当選している。

 西田氏以外にも鴻池氏や武見氏など、日頃から“保守派”として認知される議員らの顔も見えるが、彼らは安倍首相の靖国参拝をどう受け止めているのか。

 本誌は全日仏の推薦を受けた11人の各議員へ取材を申し込んだが、「スケジュール上、対応できない」(武見敬三氏)、「取材はお断わり」(島田三郎氏)など全員が回答を拒否。西田氏も事務所を通じて、「無回答とさせていただきます」とのこと。
 
 いかにも苦しい対応だが、結局、「票」のためなら“宗旨替え”も厭わないということか。

※週刊ポスト2014年5月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中学時代の江口容疑者と、現場となった自宅
「ガチ恋だったのかな」女子高生死体遺棄の江口真先容疑者(21) 知人が語る“陰キャだった少年時代”「昔からゲーマー。国民的アニメのカードゲームにハマってた」【愛知・一宮市】
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認め全店閉店へ(左・時事通信フォト、右・HPより 写真は当該の店舗ではありません)
【こんなに汚かったのか…】全店閉店中の「すき家」現役クルーが証言「ネズミ混入で売上4割減」 各店舗に“緊急告知”した内容
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
江口容疑者と自宅
《16歳女子高生の遺体を隠し…》「6人家族だけど、共働きのご両親が不在がちで…」江口真先容疑者(21)が実家クローゼットに死体を遺棄できた理由
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える”心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン