中国の株式市場に上場している国有企業323社の社長のなかで、2013年の年収が最も高かったのはコンテナ製造最大手の中国国際海運集裝箱集団(CIMC)の麦伯良・総経理(社長)で、869万7000元(約1億4680万円)だった。トップの平均年収は77万3000元(約1300万円)で、前年比4.33%増。民間の上場企業の66万3000元(約1114万円=推定)に比べて11万元(約185万円)も高く、「国進民退」という国有企業優遇の傾向が如実に表れている。
麦氏の2012年の年収は998万元(1億6766万円)だったので、2013年は前年より約120万元も少なかったが、2年連続でトップに輝いた。また、4年連続で年収は500万元を超えた。
同社の2010年から2013年の純利益も、それぞれ28億5100万元(約479億円)、36億5900万元(約615億円)、19億3000万元(約324億円)、26億3400万元(約440億円)と増減はあるものの順調だ。
中国の国有企業は製造業や金融、不動産、小売りなど多岐にわたるが、そのなかで製造業のトップの3分の1は年収100万元(約1700万円)を超えている。次に金融、不動産と続く。とりわけ国有の金融機関従業員の平均年収は32万7000元(約550万円)で、民間の金融機関従業員の年収である9万3700元(約157万円)に比べると、ほぼ4倍と大きく差が付いている。これだけ、国有企業が優遇されていることは一目瞭然だ。
中国の都市部の労働者の平均年収は4万6769元(約79万5000円)なので、民間金融機関従業員でも、都市部労働者の2倍の年収を得ていることになる。
ところで、中国では株式市場に上場している企業数は2400社あまりで、国有企業の323社以外の約2100社が民間企業だ。今回の統計は国有企業だけで、民間企業トップの年収はまだ公開されていない。
ちなみに、上海の地元経済紙「第一財経日報」グループがまとめた2012年度の統計によると、全企業中トップは不動産最大手、万科企業の郁亮総裁の1368万元(約2億2500万円)と、都市部で活発な不動産開発が続き、業績が堅調なことを反映する結果となった。2位がCIMCの麦氏だった。
「『不動産バブル崩壊間近』との観測も出ているが、不動産業の業績は堅調で、依然として不動産業が中国経済の成長を下支えしているのは間違いない。ただ、不動産バブルが本当に崩壊すれば、その影響は金融機関を直撃し大規模な取り付け騒ぎが発生、資金需用が緊縮化するなど他の業種にも大きな混乱を与えることは明らかだ」と香港の国際金融筋は指摘する。