5月3日、東京六大学野球の第4週第1日、東大が早稲田に0対11で負け、ついに自身の持つワースト記録を更新する71連敗を喫した。翌日も早稲田に0対14と大敗。第5週も立教に0対7、2対14と連敗し、不名誉記録は74に伸びた。
東大がこのまま今年の試合をすべて負けると、来年は100連敗がかかってくる。では、100連敗したらどうなるか。
「東大を優勝させよう会」会長で俳優の冷泉公裕氏(67)がシミュレートする。
「おそらく六大学野球連盟は東大に『何とかしろ』と勧告するでしょう。それでも連敗が続くなら、『東大は六大学から出て行け』という声が出ないとも限らない。
もし東大が六大学から出て行き、東都大学リーグに加盟するとすれば、おそらく4部でしょう。一方、東大の代わりにどの大学が入るにせよ、違和感は拭えない。出て行く東大にとっても新しい六大学にとっても不幸です」
東京大学新聞社編集部の野球担当・古川夏輝君(2年)もこう話す。
「ここまで連敗が続くと、果たして東大が六大学にいる必要があるのだろうかという疑問も湧いてきますし、東大新聞の中にも東大のためにも脱退した方がいいと言う人がいます。
でも、東大生として、そして東大野球部を応援する身としては、東大が六大学に残って伝統を守ってほしいんですが」
では、そんな事態を避けるためにはどうすればいいのか。 そこで出てくるのが、東大も何らかのスポーツ推薦枠を設けよ、という意見だ。50代の東大OBの「筑波大学のように、スポーツに関する科学的研究を行なう学科を新設し、スポーツ推薦枠を設けてもいい」というのが代表的な意見だ。
だが、東大野球部を熱心に応援している人ほどスポーツ推薦に反対する意見が多い。前出・冷泉氏が話す。
「東大がスポーツ推薦を設けて強くなってもファンは誰も喜ばない。一般入試、それも日本でもっとも難関の入試を突破した者だけが集まり、強豪校を倒す。それは東大にしかない魅力です」
確かにそうかもしれない。負け続けても、負け続けても──いや、負け続けているからこそ、貴重な勝利の瞬間を見たい。だからこそ東大ファンは神宮球場に足を運ぶ。連敗が止まる至福の瞬間を味わうために。
※週刊ポスト2014年5月30日号