ライフ

人工甘味料が脳内に影響を与え依存症に導く可能性言及した本

【書評】『カロリーゼロにだまされるな 本当は怖い人工甘味料の裏側』/大西睦子/ダイヤモンド社/1512円

【評者】熊田梨恵(医療問題ジャーナリスト)

 筆者も無類の甘い物好きだ。仕事で疲れたり、人間関係でストレスを感じた時、ついついチョコレートに手が伸びる。ないとイライラして、コンビニへGO! しかし、商品陳列棚を前に「太るかも…」と急に弱気に。

 そしてシュガーレスなチョコを手に取ってやんわりと罪悪感を解消。そして至福のひと時…のはずが、どうも満足しない。結局もう一度買いに行くが、またも罪悪感が顔を出し、キシリトール成分を含むガムなんか買ってしまう。結局我慢できず…。無限ループ。

 本書によれば、これは「甘み依存症」。甘みを欲して中毒症状に陥った状態だ。ハーバード大学で食事や遺伝子と病気について研究している医師である著者は、原因は人工甘味料にあると指摘する。低カロリーであることを謳い文句に世界中で爆発的に広がった人工甘味料は、砂糖の数百倍甘く、コストも安い。

 本書では、人工甘味料が脳内の神経伝達物質に影響を与えて依存症や中毒に導く可能性やそのメカニズムについて言及している。また、強烈な甘みを持つ人工甘味料に舌が慣れてくると、味覚が鈍ってつい食べすぎ、これらの作用でカロリーの過剰摂取になり、結果的に太ってしまう可能性があると著者はいう。さらに、人工甘味料が含まれることの多いダイエット飲料が、子供たちの肥満の原因になり得ることにまで触れられている。

 10年ほど前のベストセラー『食品の裏側~みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)を彷彿させるが、人体への影響に本書はより言及する。

 そもそも人工甘味料の歴史自体は浅く、人体への影響はよくわかっていない。消費者は、体に入るものを選ぶのは自分である、ということを再認識したうえで、本書を情報の一つとして得ておくのがよいだろう。

 参考になるのが、市販の清涼飲料水や食品の成分の一覧。人工甘味料が使用されているかどうかがわかる。ただ、ほかの原材料や添加物の良し悪しまでは言及されていないので、あくまでも目安に。

 著者が強調するのは、新鮮で質のいい食品をバランスよく規則正しく、しっかり食べること。カロリーより中身の栄養素に気を配るべきと主張する。はい、頭ではわかってるんです。それができないから、ついチョコレートを食べてしまうんだけどなあ。

※女性セブン2014年6月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト