韓国沈没事故をめぐっては韓国のテレビ局のヤラセや誤報が話題になった。たとえば、普段着で休息を取っていたダイバーへの取材では、「臨場感を出す」との理由でもう一度ウェットスーツを着させ、水をかぶらせたりしたのである。
「韓国のテレビで理解に苦しむのは、事故が起きている現場の映像でも、町の看板や企業名などにモザイクをかけているケースがあるということですね」(韓国駐在の日本人ビジネスマン)
ニュース番組で流れていた映像で、倒壊しているビルの横に建っているビルに、なぜかモザイクがかけられていて、いったい何のためにモザイクをかけているのか、さっぱりわからないケースもあったという。韓国在住のジャーナリスト・藤原修平氏もこういう。
「バラエティ番組で芸能人が私服の場合、帽子やTシャツなどに入ったブランドのロゴはほとんどモザイクで消されている。先日見ていたドラマでは牛乳パックに紙を貼って隠していた。あらゆる番組でモザイクだらけなんです。
逆にわかりやすく企業ロゴが前面に出るケースもあります。韓国のLCC・チェジュ航空がスポンサーしていたドラマでは、チェジュ航空はしっかり映す一方、大韓航空にはモザイクがかけられていた。要するに、スポンサーへの配慮です」
そこには韓国ならではの事情があるのだと、新潟県立大学政策研究センターの浅羽祐樹・准教授(韓国政治)はいう。
「韓国の番組は途中でCMが入らず、番組の最後にまとめて流される。スポンサーはそれが不満だから、番組に自社商品を出してロゴを流して、他社のロゴを消す手法が定着した。韓国では国営放送のKBSすらCMを流していて、スポンサーの意向が強いんです」
なかでも最大の影響力を誇るのが、サムスングループである。
「韓国のメディアは広告収入の2~4割をサムスンに依存しているのが現状で、サムスンも批判を抑えるために過剰なほどのメディア対策をしている。記者の中には、内定前から『卒業の祝いに花束を贈りたい』とサムスンから電話を受けたり、就職後も携帯やカメラ、現金の小遣いをもらう人も多い。その代わり、批判記事には掲載中止の圧力をかけまくり、内容が改変されることもある」(韓国メディアに精通するライター)
※週刊ポスト2014年6月6日号