韓国の旅客船沈没事故での韓国メディアの過熱報道は、常軌を逸していた。救出された人々が入院している病院に記者が突入、助かった女子生徒に「友だちが大勢死んだのを知っているか?」と質問するなど、被害者の感情を踏みにじることもあったほどだ。
そればかりか、意図的なヤラセも横行していた。韓国日報(4月24日付)の記事によると、4月22日のテレビ局の取材で、カメラに囲まれた海軍海難救助隊の潜水士は、びしょぬれのウェットスーツ姿で行方不明者の捜索状況を説明したが、同紙の記者は、この潜水士がすでに仕事を終え、10分前まで普段着に着替えて休息を取っていたのを見たという。
テレビ局からの要請で、臨場感を出すため、またウェットスーツに着替え水をかぶって取材に答えたのだ。記者からの質問に潜水士が「今日は視界が50~60センチだった」と話すと、海軍関係者が割り込み「30~40センチとすれば、救助活動が困難であることを伝えられる」と進言し、回答の変更まで要求したという。行方不明者の生死がかかる現場で、あきれた八百長ぶりだ。
※週刊ポスト2014年6月6日号