日本生産性本部が先ごろ公表した今年の新入社員のタイプは「自動ブレーキ型」。高感度センサーで危険物を察知して自動的に車を停止させる機能のように、情報収集能力には長け、リスクを冒さない安心感はあるが、「チャレンジ精神」にかける。その傾向が顕著なのは、男性の新人だという。
「プレゼンの資料の手直しが必要だといったのに、定時にさっさと帰る。仕事量だけセーブして勝手に“自動ブレーキ”をかけるんです。“私がやっておきます”と遅くまで頑張ってくれたのは、同じプロジェクトチームの新人女子社員だった」(製薬会社社員)
「会議での発言も女の子が増えた。若い男連中は黙って頷くばかりで、会社の行く末が不安になった」(大手飲料メーカー営業社員)
散々ないわれようだが、そもそもなぜ最近の若者は女性のほうが優れているといわれるのか。心理学者で新潟青陵大教授の碓井真史氏は、「科学的に女性のほうが優れているという根拠はない」としながら、興味深い指摘をする。
「心理学の実験で、狭い部屋に男女を閉じ込めると、異なった動きをする。男は喧嘩を始めて、女性は仲良くなろうとするなど、協調性の高いのが特徴です。
企業戦士の活躍した時代は、高度成長期で体力勝負でしたが、今の企業が求める必須条件はコミュケーション能力。採用担当者には、その女性の特性がより好ましく優秀に映るのです。
また、今の親、特に母親は息子に甘く、失敗しないようにあれこれ先手を打つために、若い男は安全志向型になりやすい。一方、娘にはともにお洒落をして出かけながらも、お稽古事や学業もちゃんとするように育てます。有能かつエレガンスさを身に付けて社会に出ることになるのです」
もう一つ、女性ならではの理由もあるようだ。人事コンサルタント・城繁幸氏が指摘する。
「新卒に限りませんが、若い女性はキャリアに関し、将来のライフプランをしっかりと描いている。出産や育児などキャリアを左右するイベントに20代、30代で遭遇するために、“まァ、いつかは結婚するんだろうな”と漫然と過ごす若い男性と比べると、早くから自分の人生を真剣に見つめているからです」
出産や育児でキャリアを中断しても、復職しやすいのは資格を取得すること。ここでも女性の優秀さが目につく。最新の合格率で女性が男性を上回るものは、ざっと以下のもの。
【医師国家試験】男89.7%/女92.5%
【歯科医師国家試験】男59.8%/女69.1%
【宅地建物取引主任者】男14.4%/女17.5%
※週刊ポスト2014年6月6日号