政府の成長戦略に対する自民党提言のなかに、プロ野球球団を現在の12球団から4球団増やして、16球団にすることが盛り込まれていることがわかった。その可否についてフリーライターの神田憲行氏が考える。
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報道によると、自民党の提言では静岡県、北信越、四国、沖縄県といった具体的な地域も示し、安倍首相も「地域活性化に役立つ、賛成だ」と評価したという。
プロ野球球団が出来るということは、その地域に100億円規模の企業が誕生することであり、たしかに地域活性化に貢献することは間違いない。また「候補地」で挙げられた地域にはプロ野球のゲームが行えるレベルの球場がすでにある。新潟など現在の球団の移転騒ぎが起こるたびに名前が挙がる万年候補地だ。
しかし球団を招致するために政府が出来ることはなんだろうか。
すぐ私が思い浮かべたのは国税庁が昭和29年に出した「職業野球団に対して支出した広告宣伝費の取り扱いについて」という通達だ。これによって球団の赤字補填は親会社の宣伝広告費として損金算入できる優遇措置が取られている。
また地方自治体なら所有している球団を安く新設球団に貸し出す方法も考えられる。楽天方式だ。
それらに加えて、「企業がプロ野球球団を持ちやすくする」施策が私には思い浮かばない。
そもそも球団を所有できるくらいの企業がどれだけあるのかもわからない。球場改修費だけですぐ数10億円は飛ぶし、赤字補填で毎年5億、10億のカネが溶けていく。その原資となるのが親会社の広告・宣伝費だが、私の感覚では毎年100億円ぐらいの金額を投入している企業でないと、もたないのではないか(DeNAが横浜ベイスターズを引き取ったときの販促費・広告費は196億円だった)。
提言を受けて、政府は成長戦略を今月発表する。そこにどんな具体的な支援策が盛り込まれるのか注目したい。まさか「プロ野球の球団をもっと作った方がいいと思いまーす」なんて、小学校の発表会みたいなことにはならないでしょうね、安倍さん。