まことしやかにささやかれる健康の常識。「聞いたことがある」というだけで信じていませんか? その思い込み、本当に正しいのだろうか。
たとえば「水をたくさん飲めば、血液はサラサラになる」という説。「脱水症状になると血液はドロドロになると聞きます。ならば、水をたくさん飲んだほうが血液はサラサラになるのでしょうか?」(43才・営業事務)などという声も聞こえてくる。『世界一受けたい授業』などでも活躍する、内科専門医、循環器専門医の池谷敏郎さんはこう説明する。
「極度の脱水状態でもない限り、脱水によって血液がドロドロになることはありません。したがっていくら水を飲んでも、血液はサラサラにはなりませんが、長時間のサウナとか水分補給しないで運動する際には、事前に水分と少量の塩分補給は忘れないでください」
また「食後のごろ寝はよくない」なっていうこともよく言われているが、実際のところはどうなのだろうか。
「食物を消化し栄養分を蓄えるためには、胃や腸、肝臓に血液を送らなければなりません。ところが、食後すぐに動いてしまうと血液が脳や筋肉に奪われてしまいます。また、運動で交感神経が優位になると消化管の機能が落ちます。ただし胃酸が食道へ逆流する“逆流性食道炎”の場合には症状悪化の原因になるので注意」(池谷さん)
卵についてはこんな意見もある。「卵が大好きで、1日に2~3個食べることもあります。卵はコレステロール値を上げるので、食べるなら1日1個までと聞いたことがありますが、大丈夫でしょうか?」(43才・派遣)。卵は1日1個までがいいのだろうか?
「卵の黄身にはコレステロールが多く含まれていますが、コレステロールの多くは体内で合成してつくられるので、卵を食べてもコレステロール値が異常に上がるということはありません。逆に、卵は良質なたんぱくやミネラル、ビタミンを含むので、1日2~3個なら問題なし。ただし、高脂血症のリスクがある人は、定期的に血液検査を受けるなど、医師に相談を」(池谷さん)
※女性セブン2014年6月26日号