民主党内は、早くも海江田万里・代表辞任を前提に代表選準備が始まっている。出馬には議員20人以上の推薦人が必要だが、議席数が大幅に減ったため、どのグループも10人程度。その中で先行するのは岡田克也・元副総理と細野豪志・前幹事長だ。
岡田氏は「日本の国益に深く関わることになるなら、(集団的自衛権行使を)限定的に認めることはありだ」(6月7日、三重での講演)という立場。細野氏は前述の防衛研究会のメンバーだ。
どちらかが代表に就けば、左派やリベラル派を切り捨てて党内を集団的自衛権行使賛成に一本化し、安倍政権と共同歩調を取れる。
「岡田さんは前原さんに乗せられてすっかりその気になり、中間派の中堅、ベテラン議員と個別に会っては支持を訴えている。
会った議員は『公明党が自民党と割れる時、民主、維新、結いの党と公明党をまとめて新進党のような大きな勢力をつくれるのは私しかいない、とでもいうような口ぶりだった』と苦笑いしていた」(保守系議員)
野田政権時代の「民自」大連立構想の亡霊が復活したかのようだ。あの時、民主党の支持率は壊滅的で次期選挙での大敗は必至。自民党との連立に生き残りをかけたが、自民党からは“なぜわざわざ不人気政党と組まなければいけないのか”とあっさり袖にされた。
それなのに野党に転落した今も「大連立ができる」と本気で思い込んでいるとしたら、この人も前原氏同様に懲りない人だ。
細野氏も存在感を示そうと必死だ。グループ10数人とシンパの3回生議員を中心に推薦人20人を確保し、若手の囲い込みにかかっている。
党内では1~2回生議員を中心に、若手が代表選に出馬できるように推薦人の最低基準を10人に減らす署名活動を開始したが、細野グループ議員の署名はなかなか集まらない。
「ウチはすでに20人確保している。推薦人のハードルを下げると他の若手が出馬する可能性がある。若手の票を細野に集めるために署名に応じない方針だ」(側近議員)というから実にセコイ。
※週刊ポスト2014年6月27日号