安倍晋三内閣は、給与を「時間」ではなく、「成果」に応じて支払う法案、「残業代ゼロ法案」を2016年春にも成立させ、実施する見込みだ。経済アナリストの森永卓郎さんは危惧する。
「現行の給与は、基本的に時間単位で決まります。
一方、成果主義が広く適用されているアメリカでは、報酬を決めるのは上司です。つまり、上司次第で残業時間や給料が変わるんです。これが日本でも起こる可能性があります」(森永さん)
森永さんによれば、アメリカでは上司とのコミュニケーションが重要視されるため、なかには、上司を休日のホームパーティーに呼んで、家族ぐるみで接待に励む部下さえいるのだという。
安倍首相はそうした状況を防ぐため、残業代ゼロ制度を「希望しない人には適用しない」としているが、森永さんは「詭弁」と言い切る。
「会社側から言われても断ればいいということでしょうが、会社と労働者の交渉では、会社側のほうが圧倒的に強い」
実際、「有休がたまっているのに仕事を休めない」「サービス残業を強いられる」といった会社員はざらにいる。
「簡単に転職できないので、どうしても社員の立場が弱くなる。結果言うことを聞かざるを得ない。組合もノーと言ってくれないんです」(森永さん)
※女性セブン2014年6月26日号