ビジネス

専門家「年末までに1ドル120円、日経平均1万7000円」の根拠

 方向感の見えにくい相場が続く日本株だが、「年末に向けて今が仕込みのチャンス」だというのは、海外投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏だ。戸松氏が、今後の日本株、ならびに為替相場の展望を解説する。

 * * *
 今年に入ってから、日本株は調整局面が続いているが、それは逆にチャンスとなるだろう。ここまでの日本株低迷の要因は、日銀の追加緩和期待の後退や消費増税による景気減速懸念、ウクライナ情勢の再緊迫化といった通り一遍のものではない。

 日本市場を実際に動かしているのは、売買代金の約7割を占める外国人投資家であり、具体的にはオイルマネーを含む世界中の富豪の資産を受託運用しているロンドン、シンガポール、ニューヨークなどに拠点を置く機関投資家の売買注文である。彼らが日頃色濃く売買しているのが米ナスダックに上場する高成長株であり、その影響が日本株にも波及しているにすぎない、というのが私の見方だ。

 ナスダックを牽引してきたネット株、バイオ株などの優良成長株は今年2月中旬より急騰したものの、ほぼすべての銘柄が3月上旬をピークに下落傾向に転じている。これは米国のテーパリング(金融緩和縮小)が進むなか、米国経済の回復基調がさほど強くなく、企業業績も期待通りには伸びていないことへの失望売りが大きな要因だ。

 例年、米国株は夏場にかけて下がっていく傾向が見られるが、このままいけば、今年も同様の値動きが予想される。ここにきてナスダックの値動きに連動する日本株も、それに追随する可能性が高いのではないだろうか。

 実際、日経平均株価のチャートを見ても、50日移動平均線が200日移動平均線を下に突き抜け、中期下落転換のサインを示しているほどである。

 ただし、この下落局面は日本株にとって大きなチャンスといえるだろう。なぜなら、日本は異次元の金融緩和が続き、さらなる追加緩和まで期待されている。一方の米国は、シナリオ通りに年内にテーパリング完了、来年半ばに利上げともなれば、日米の金利差はさらに開くことになる。

 資金は金利の高い方に流れるので、先を見越してドルが買われて円が売られることで、秋口くらいから一層の円安が予想される。そう考えていくと、今年後半には1ドル=110~120円の円安が現実味を帯びてきて、それを好感して日経平均も年末に1万7000円を突破していてもなんら不思議はないだろう。

※マネーポスト2014年夏号

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン