尖閣諸島周辺海域への野心を隠さない中国。日中が衝突する危険度が高まっている。その可能性は低いと見るべきだが、局地的な紛争から戦線が拡大し、日中が全面衝突するとどうなるか。もし日本が優勢に立てば、さらなる危機を招くおそれがある。
元自衛官・かのよしのり氏は、人民解放軍と全面衝突となった時に唯一「勝利」が望めるシナリオは中国の港湾を早い段階で封鎖することだと指摘する。
「自衛隊が中国より圧倒的に勝っているのは対潜作戦能力と掃海能力です。中国の港を機雷でいち早く封鎖してしまえば日本への侵攻を防げる上に、貿易に依存した中国の経済活動に大きな打撃を与えられます」
10倍以上の兵力を持つ相手に対しても勝機があることは自衛隊の能力の高さを示すと言えなくはないが、日本が優勢に立てば、危機はますます深刻化する。中国が核保有国だからだ。かの氏が指摘する。
「実際に発射しなくても、核ミサイルの発射ボタンを握って本気で威嚇してきたら従わざるを得ない。核武装や敵基地攻撃が許されない専守防衛のシステムが前提では、莫大な予算を割いて迎撃ミサイルを配備しても、必ず何発かは着弾してしまいます。コスト的にも対抗するのは不可能です」
※SAPIO2014年7月号