東日本大震災の翌年、「増税を強いられる国民と痛みを分かち合う」という理由で国家公務員は平均8%の給料カット、国会議員(特別職公務員)は2割の歳費返上が実施された。
しかし、国民への臨時増税は25年間でも、公務員と国会議員の「痛みの期間」は2年間で打ち切られ、今年4月分の給料から大幅に引き上げられた(国会議員の歳費は5月分から)。
6月30日はシロアリ官僚たちが待ちに待ったボーナス支給日だ。新聞にはいつも実態とかけ離れた係長以下の平均支給額(昨年冬は約57万円)が公表されているが、2年前の水準に戻るのだから支給額は事務次官の約301万円(約41万円増)を筆頭に、局長は約229万円(約23万円増)になると考えられる。
ちなみに国会議員のボーナスは約291万円。歳費カット後に行なわれた前回の参院選と総選挙で大量に当選した新人議員たちにとっては、文字通り空前の収入増となった。安倍晋三首相が賃上げに成功したのは公務員と議員だけである。もうひとつ加えるなら、大企業の復興特別税も今年、廃止された。つまりは権力者のみの“アベノミクス効果”なのだ。
これだけボーナスが上がれば、役人は住民税の復興増税を払って十分すぎるお釣りが来る。経済ジャーナリストの磯山友幸氏(熊本学園大学招聘教授)が指摘する。
「民間企業なら赤字経営で下げた社員の給与を、赤字が改善しないのに元に戻すなど考えられません。国の財政がこれだけ赤字なのに公務員の賃上げができるのは、国民が増税の痛みに耐えて税金を払っているからです。そう批判すると、官僚は『公務員も給料から復興税を払っている』という。
しかし、給料の出元は税金なのだから、税金で税金を払っても新たな財源にはならない。だから復興財源のためには公務員の給料カットを続けるべきなのです」
正論だろう。
※週刊ポスト2014年7月4日号