4年に一度の祭典、サッカーW杯ブラジル大会が開催中だが、今大会の放映権料は200億円とも400億円ともいわれ、NHKと日本民間放送連盟加盟社からなるジャパンコンソーシアムがFIFAに支払っている。大金をはたいて獲得した放映権ということもあり、各局では連日、W杯の試合が放送されている。テレビ局関係者が話す。
「今大会は、時差の関係で、深夜から早朝にかけて放送している。たとえば、『ブラジル対クロアチア』の開幕戦は、早朝4時30分からフジテレビ系で中継され、視聴率12.1%。日本と同じ予選C組の『コロンビア対ギリシャ』は、24時30分からテレビ東京系で中継され、4.9%。ともに、早朝帯や深夜帯では、かなり高い数字です」
とはいえ、それでも莫大な放映権料に見合っているとは言いがたいのだという。
「フジテレビに関していえば、いつも『めざましテレビ』が同じくらい数字取っていますからね。テレ東は普段の3倍以上の数字ですが、3~4%上がったに過ぎません」(同前)
試合中継自体はそれなりに高い視聴率を記録しているが、ゴールデンタイムで放送されているハイライト番組などの数字は総じて低い。
「開幕戦の夜に日本テレビで放送された『2014FIFAワールドカップ日本人の好きなサッカー選手ベスト100』は8.4%、日本の初戦の夜にTBSで放送された『2014FIFAワールドカップDAILY』は4.5%といずれも悪い数字です。
試合中継ならそれなりに数字が取れるのでしょうが、ハイライトをゴールデンタイムで1時間放送しても、普段サッカーを見ていない人が見るとは思えない。これなら、通常の番組を流しているほうが視聴率は取れますね」(同前)
なぜ、数字が悪いにもかかわらず、各局は放送しているのか。
「W杯のために、どの局も大物タレントをおさえていますからね。せっかく起用したタレントを、できるだけ使いたい、使わなきゃいけない、という事情はあるでしょう。民放各局の放映権料負担額は、それほど大きくないので、タレントを起用する資金はまだあるわけです。
とはいえ、次の大会はさらに放映権料が上がるし、これほど悪い数字だと、次の大会ではハイライト番組やゴールデン帯の特番が減る可能性もあるでしょう。もちろん、タレントの数が減ったり、ギャラが下がることも考えられます。
いくら日本戦や他国の試合自体が視聴率を取れるといっても、テレビ局が右肩下がりになっている時代ですからね」(同前)
“W杯中継は鉄板”と思われているが、その関連番組の不調や費用対効果を考えると、いずれ、現在のようなスタイルが消滅するかもしれない。