習近平・中国国家主席が姉夫婦など親族のファミリービジネスを禁止し、所有している株式や豪邸など数億ドル規模の資産を売却するよう指示した。その結果、北京や香港の不動産物件だけで、その売却益が2億3400億ドル(約234億円)にも達したことが分かった。また株式による資産は少なくとも21億ドル(約2100億円)にも達するという。
習氏は自身が反腐敗キャンペーンを展開するなかで、「政治的な弱みを見せないようにするためだ」と米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。
これらの資産は習氏の姉の斉橋橋氏と夫のトウ家貴氏、その娘の張燕南氏が所有しているもの。
まず夫妻らは香港の高級住宅街にある邸宅2棟をそれぞれ1.5億香港ドルと2.38億香港ドルで売却。さらに、北京のマンションなどを合わせると計2億3400万ドルに達するという。
これらの物件は夫妻が経営する不動産会社が売却。この会社はいわく付きで、習氏が2007年10月、中国共産党の第17回党大会で党政治局常務委員会入りした数週間後に投資総額2000万元(約3億6000万円)で創設されたものが、4年後の投資総額は約50倍の9億7970万元に膨れあがっている。
これは習氏の名前がビジネスに影響を及ぼしているのは明らかだ。
金融経済専門通信社のブルームバーグ通信によると、習氏の妹夫妻は2人で11社の企業のオーナーであり、そのほか、少なくとも25の企業の重役として経営に携わっていた。また、総資産は日本円で525億円にも達しているという。
これらの所有している株のうち、今回、どの株を売却したかどうかは不明だが、トウ氏が所有している江西省のレアアース採掘・販売会社の株だけで時価21億ドルは下らない、とニューヨーク・タイムズは報じており、夫妻の資産総額は莫大な額に上るのは間違いない。
同紙によると、夫妻は2012年以降、少なくとも10企業の保有株を売却。株式売却に携わった金融関係者は「(売却は)家族のためだ」と明かしているが、依然として中国各地に多くの企業を所有している。
また、2007年から2012年までの共産党政治局常務委員を務めた9人のうち、習氏や温家宝、周永康、賈慶林の4氏の家族が所有していた資産は1億5000万ドルに上っていたことが中国政府機関の記録から明らかになっているという。