交流戦では2007年以来となる勝ち越しとなったが、それでもセ・リーグ最下位争いを演じている横浜DeNAベイスターズ。今年は例年に比べると、開幕前の下馬評も悪くなかったが、やはり低迷していると言っていいだろう。スポーツライターがこう語る。
「今に始まったことではありませんが、ベテランを軽視してきた結果でしょう。オフには正捕手の鶴岡一成がFA(フリーエージェント)の人的補償で阪神へ移籍。中畑清監督は『今年は黒羽根(利規)を正捕手で使うつもりだった』と話していますが、いずれにしてもベテラン捕手の流出はあまりに痛かった。
実際、開幕早々に黒羽根がケガで離脱。2番手捕手が育っておらず、チームの低迷に拍車をかけました。阪神に移った鶴岡も、今はケガで出場できていませんが、一時は正捕手としてチームを牽引し、DeNA相手に良いリードを見せていたので、二重のダメージがありましたね。
昨シーズン途中には、渡辺直人が西武へトレードされている。梶谷隆幸や山崎憲晴、石川雄洋で二遊間を賄えると判断したのでしょうが、安定した守備を誇る渡辺を移籍させる必要があったのか。事実、今年のDeNAは併殺の取れる場面でランナーを残すなど、二遊間の守備に不安を見せている。反対に、渡辺は西武でレギュラーを張り、3割を超える打率を残している。渡辺とのトレードで、セットアッパーの長田秀一郎を獲得しましたが、まだ西武時代のような安定感はありません。
オフには中日を戦力外となった柳田殖生を獲得。高田繁GMは『内野ならどこでも守れる選手だから』と話していましたが、それなら渡辺直人を残しておけば良かったのではないでしょうか。
結果論のように思われがちですが、優勝争いをするためには、ベテランの力は欠かせない。たとえレギュラーでなくても、バックアップ要因として必要になるときが間違いなくやってくる。DeNAはベテランの力をあまりに軽く見過ぎているのです」
シーズンに入ってからも、ベテランを軽視し、疑問符の付く若手を使う傾向があるという。
「4月の低迷は、開幕投手に2年目の三嶋一輝を抜擢したことから始まった。オープン戦で散々の結果で、開幕に投げるほどの実力ではなかった。案の上、8失点でKOされた。以降も、結果を残せず、ファーム落ち。
実績のある多村仁志や金城龍彦も、今シーズンはスタメンの機会が少ない。ケガ人が続出した後も、多村や金城の代わりに、下園辰哉や松本啓二朗が使われることもありますが、結果が出ていません。今年の中畑監督は勝負の年なのだから、もっとベテランの力を信じていいと思います」
契約年数を延長し、チーム初のクライマックスシリーズ進出に懸けている中畑監督。このままでは、背筋の寒いオフがやってきてしまう。