70年近く平和ボケで暮らしてきた日本人は忘れてしまったかもしれないが、戦争となれば、仮に東シナ海での局地戦であっても国民生活に大きな影響がある。我々は何を想定し、覚悟しなければならないのか。
「食」はどうなるか。日本の食料自給率は最新の統計で39%(カロリーベース、2012年度)。残り6割強を外国から輸入しているが、品目によっては中国依存が甚だしい。
農林水産物輸出入概況(農水省、2013年確定値)によると、輸入量1位が中国である品目は、生鮮・乾燥・冷凍野菜からソーセージなど肉類加工品、果物缶詰、米菓、緑茶、海産物など多岐にわたる。自給率が低く中国依存度が高いものは、自給率約7%の天然ハチミツ(輸入のうち中国の占める割合は77%。以下同)、自給率約8%のタケノコ(99%)、自給率約20%のソバ(63%)、自給率4割のニンニク(98%)。
食糧問題研究家の小倉正行氏はこう語る。
「中国に100%依存する食料品には加工食品向けが多い。インスタント麺のかやくに使用される乾燥野菜は加工技術や単価の安さにおいて中国が断トツで、すぐに代替できない。冷凍ハンバーグやカレーに使用される皮を?いた玉ねぎも同様に中国依存度が高い。インスタントやレトルト、冷凍食品が一時的に店頭から消えることもあり得ます」
ウナギも6~8割を輸入に頼っている。活ウナギ(79%)、かば焼きなどウナギ加工品(99%)の中国依存度を見ると、土用の丑の日のウナギはますます高嶺の花となる。
国産やその他の国からの輸入で代替するとして、どれほどの価格上昇が見込まれるのか。農水省の生鮮食料品価格・販売動向調査(2012年)によると、ニンニクは輸入品514円に対し国産2072円、ネギは輸入品292円に対し国産583円だ(いずれも1kgあたり)。
ネギは輸入品が全体の2割弱だから影響は限定的だが、約6割を輸入(うち、ほぼ全量が中国産)に頼るニンニクの価格は品薄による値上がりも考えれば暴騰するだろう。中国依存度の高い野菜の店頭価格は10倍になると覚悟するべきかもしれない。
※SAPIO2014年7月号