盛り上がりを見せるサッカーワールドカップブラジル大会だが、試合前の国歌斉唱が気になるという人も多いのでは?
各国の国歌は、それぞれ個性的なものとなっているが、なかでも国の歴史を色濃く映し出しているのがフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」だ。フランス革命の真っ只中に作られた軍歌で、〈血に染まった軍旗〉、〈喉をかききる〉、〈穢れた血が我らの畑 潤わさんことを〉というフレーズからは生々しい戦いの様子が目に浮かぶ。
『国歌斉唱♪「君が代」と世界の国歌はどう違う?』(河出書房新社刊)著者の新保信長氏の解説。
「この過激な歌詞には『今の時代に合わない』、『シンボルとして大事にすべき』などと賛否両論あります。特に問題なのは最後の一節『穢れた血』の部分。人種差別を連想させるという声が強い。2006年のW杯ドイツ大会で移民二世のジダンは口を真一文字に結び断固として歌いませんでした」
同じく歴史観が問われるのがドイツ。「もともとは1番から3番まであるが、国歌として歌われているのは3番だけ」と言うのは新保氏だ。
「第二次世界大戦でナチスドイツが敗れるまでは1番が国歌として歌われていた。が、敗戦後は歌詞が軍国主義的であることから禁止に。代わりに3番が国歌とされました。ドイツ人に聞いたところ『学校では1番の歌詞は絶対教えないし、先生が歌ったらクビ。歌うとしたら酔っ払ったおじさんぐらい』だとか。1989年にベルリンの壁が崩壊した際には、街のあちこちで3番が歌われたそうです」
※女性セブン2014年7月17日号