6月29日、東京都心で猛烈なゲリラ豪雨が発生するなど異常気象が続く日本列島。専門家の中には今夏にゲリラ豪雨が全国各地を襲い、特に都市部で町が「水没」する危険が高まると指摘する人もいる。では、東京23区で具体的に危険な場所はどこか。
台東区や墨田区など荒川沿いの江東デルタと呼ばれるゼロメートル地帯では、暴雨で荒川堤防が決壊したら浸水は免れない。
赤羽岩淵や王子付近などの上流域も、「鉄橋がかかっている部分で堤防の低い箇所があり、そこが決壊ポイントとなる可能性がある」(河川工学が専門の宮村忠・関東学院大学名誉教授)という。
これからの季節は、強い台風の接近とそれに伴う大潮も懸念される。そこに豪雨が重なれば川沿いの危険がさらに増すことになる。また、23区西部は台地で標高が高く、安全だと思われがちだが、山手線以西にもピンポイントで危険が迫る。
「台地であっても石神井川、神田川、渋谷川、目黒川などの川沿いは谷になっているところが多い。局地的な豪雨があると河川による排水より早く、そうした『窪地』に水が流れ込むのです」(危機管理ジャーナリストの渡辺実氏)
そうした地理的特徴を持つ場所には、繁華街も多く含まれる。前出・宮村氏は次の危険箇所を指摘する。
「道玄坂や宮益坂など、四方を坂に囲まれている渋谷駅周辺は典型的です。ここには、今も暗渠の渋谷川が流れています。
丸の内、有楽町など東京駅周辺も要注意。丸の内や八重洲口の地下街は内閣府のハザードマップで浸水エリアとされていますが、その周辺はかつて船が着く港があった。もともと低い場所なのです」
同様に、上野駅周辺にも「窪地」がある。宮村氏が続ける。
「上野のお山と呼ばれるだけに高い場所に思われがちですが、不忍池周辺は低く、海抜0mに近い」
住宅街として人気の町も例外ではない。