中国では企業の社債発行残高が急速に増加しており、昨年末時点で、米国の13兆1000億ドル(約1325兆円)を上回って世界一の14兆2000億ドル(約1450兆円)にも達しており、これらの巨額債務が焦げ付けば、世界金融危機の再来を招くとの分析も出ている。米経済・金融専門通信社、ブルームバーグ通信などが世界的な投資情報会社、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のリポートの内容として報じた。
中国のトップ企業約8500社の企業債務の総額は中国の国内総生産(GDP)の10兆ドルを上回っており、世界の企業債務の3分の1を占めている。ここ数年で、世界2位の経済大国である中国の社債市場が急速に拡大していることが分かる。
しかし、この社債総額のうち、ほぼ3分の1を占める4兆ドルが銀行など正規のルートを通さない、規制の網をかいくぐって横行する不透明な融資の総称の「影の銀行(シャドーバンキング)」によって調達された資金なのだ。
中国では今後も企業債務が増え続けることが予想されており、2018年末までに20兆ドルと、やはり世界全体の60兆ドルの3分の1レベルを維持する見通しだ。だが、中国の国有銀行が企業に資金を貸し出す際にはさまざまな規制があることから、中国企業がこれら莫大な額の資金を調達するには、これまで通り、シャドーバンキングを利用するしかないのが現実だ。
ところが、いま中国では典型的なシャドーバンキングの一種で、投資信託型の理財商品のデフォルト(債務不履行)のリスクが高まっている。理財商品は国有銀行も販売などに関わっており、デフォルトとなれば、不良債権は25兆円を超える可能性があると報じられている。
このため、S&Pの企業格付け最高責任者の一人はリポートのなかで、「米国は景気回復の軌道を歩み続け、ユーロ圏は景気低迷に苦しんでいるが、要は中国だ。中国のリスクの高まりは世界のリスクが高まることを意味している」と分析し、世界恐慌の再来を警告しているほどだ。
すでに、中国内では最近、不動産バブル崩壊を予測する声が出始めており、中国欧州国際交渉学院の許小年教授(経済学・金融学)のように、「中国経済の長い厳冬に備えよう」などと長期不況に大きな懸念を示す向きも多い。