国際情報

日本版NSC発足から半年 外交問題で何ら存在感示せなかった

 安全保障について力を入れると明言し、実行してきた安倍晋三政権だが、国際的な危機に対して目覚ましい対処をしたという印象がない。作家の落合信彦氏が、日本の安全保障上の実力について解説する。

 * * *
 日本版NSC(国家安全保障会議)が発足してはや半年が経つ。だがこの間、安倍晋三の靖国参拝以降の日米関係悪化、ロシアによるクリミア侵攻、中国とベトナムの南シナ海衝突といった外交問題において、NSCが何ら存在感を示せなかったことは明白だ。日本版NSCの建物は、大地震が起きれば機能がガタガタになるほど脆いというが、それはまさに、この組織の脆弱さを象徴している。

 私は発足前から、日本にNSCを作って役人たちが集まったところで、会議で話すことなど何もないし、機能するはずがないと指摘してきた。結果はご覧の通りだ。なぜ私はそう予言したか。日本には、情報を取ってくる諜報機関が存在しないという致命的欠陥があるからだ。

 日本に情報を取る力がないことは、昨年アルジェリアで起きたテロ組織による人質拘束事件において、安倍がイギリスのキャメロン首相に電話で「情報をください」と懇願したことからも明らかだろう。安倍は特定秘密保護法制定のときにも、「我が国が秘密情報の管理ルールを確立していなければ、外国からの情報を得ることはできない」と言っていた。情報は外国からもらえるものだと思い込んでいるわけだ。

 勘違いも甚だしい。私の知り合いのCIA関係者はこう言っていた。

「日米同盟などと言っても、日本に我々がつかんだ重要な情報など渡せない。日本に情報を流すと、政治家を通じてすぐ中国や北朝鮮に横流しされてしまうからだ」

 実は同様の見解を、警視庁公安部の人間からも聞いたことがある。彼は「我々にも、北朝鮮に関しては在日ルートを通じて、ノドン(中距離弾道ミサイル)の実態など詳細な情報が入ってくる」と言うので、私はなぜその情報を政治家にあげないのか、と聞いた。すると彼は、「言ったらすぐに(北朝鮮に)筒抜けになる」と言うのだ。

「我々は国のためにやっていると考えたいのだが、現実は違う」と、彼は嘆いていた。私はそのとき、本当にかわいそうに思ったものだ。

 日本の政治家たちは、時にはそれが海外の諜報機関からトレース(追跡)されている偽の情報であることにも気づかないで、せっせと中国や北朝鮮の手先となって日本の情報を流してきた。そんな国に情報を渡すほど、アメリカはお人好しではない。

※SAPIO2014年8月号

トピックス

還暦を過ぎ、腰に不安を抱える豊川悦司
豊川悦司、持病の腰痛が悪化 撮影現場では“トヨエツ待ち”も発生 共演の綾野剛が60分マッサージしたことも、華麗な手さばきに山田孝之もほれぼれ
女性セブン
桂ざこばさんとの関係が深い沢田研二
【深酒はしなかった】沢田研二の「京懐石で誕生日会」にザ・タイガースのメンバーが集結!ただし「彼だけは不参加でした」
NEWSポストセブン
「DA PUMP」脱退から18年。SHINOBUさんの現在をインタビュー
《離島で民宿経営12年の試行錯誤》44歳となった元「DA PUMP」のSHINOBUが明かした沖縄に戻った理由「念願の4000万円クルーザー」でリピーター客に“おもてなし”の現在
NEWSポストセブン
葉月里緒奈の現在とは…
《インスタでぶっちゃけ》変わらない葉月里緒奈(49)「映画はハズレだった」「老眼鏡デビュー」真田広之と破局から“3度目結婚相手”までの現在
NEWSポストセブン
日本人俳優として初の快挙となるエミー賞を受賞した真田広之(時事通信フォト)
《子役時代は“ひろくん”》真田広之、エミー賞受賞の20年以上前からもっていた“製作者目線” 現場では十手の長さにこだわり殺陣シーンでは自らアイディアも
NEWSポストセブン
主人公を演じる橋本環奈
舞台『千と千尋の神隠し』中国公演計画が進行中 実現への後押しとなる“橋本環奈の人気の高さ” 課題は過密スケジュール
女性セブン
10月には2人とも33才を迎える
【日本製鉄のUSスチール買収】キーマンとなる小室圭さん 法律事務所で“外資による米企業買収の審査にあたる委員会”の対策を担当 皇室パイプは利用されるのか
女性セブン
殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤早貴被告
「収入が少ない…」元妻・須藤早貴被告がデリヘル勤務を経て“紀州のドン・ファン”とめぐり会うまで【裁判員裁判】
NEWSポストセブン
自身の鍛えている筋imoさ動画を発信いを
【有名大会で優勝も】美人筋トレYouTuberの正体は「フジテレビ局員」、黒光りビキニ姿に「彼女のもう一つの顔か」と局員絶句
NEWSポストセブン
シンガーソングライターとして活動する三浦祐太朗(本人のインスタグラムより)
【母のファンに迷惑ではないか】百恵さん長男の「“元”山口百恵」発言ににじみ出る「葛藤」とリスペクト
NEWSポストセブン
交際中の綾瀬はるかとジェシーがラスベガス旅行
【全文公開】綾瀬はるか&ジェシーがラスベガスに4泊6日旅行 「おばあちゃんの家に連れて行く」ジェシーの“理想のデートプラン”を実現
女性セブン
羽生結弦(時事通信フォト)の元妻・末延麻裕子さん(Facebookより)
【“なかった”ことに】羽生結弦の元妻「消された出会いのきっかけ」に込めた覚悟
NEWSポストセブン