兵庫県議だった野々村竜太郎氏の疑惑で一躍注目を集めたのが「政務活動費」だ。東京都議会では議員1人あたり年720万円まで認められている。本誌は、都議会を中心に政務活動費の実態を調査した。議会事務局に提出された領収証の束を紐解くと、有権者には理解しがたい支出が次々と浮かび上がってきた。
まず目につくのが、会合という名の“宴会”費用の多さだ。資料が公開されている最新の2012年度の使途を見ると、たとえば自民党の早坂義弘都議は1月だけで各地の町会や商店街、同業組合などの新年会、賀詞交歓会といった宴会が83回。その他、研修会名目などの3回を含めると1月に86回分の会費を支出していた。計約50万円を支払い、その半額を政務活動費として計上したのである。詳しく見ると、1日8件という日もあった。
ちなみに、その年に議会が開かれた日数は77日。サラリーマンの3分の1程度しか出勤しないのと対照的に、新年会だけでそれ以上の回数になる。飲み会に行って都民の声を聴くのも彼らの言葉では「調査研究」というのかもしれないが、1日8件ハシゴとなると、選挙のための単なる挨拶回りとしか思えない。都下の飲食店組合の関係者はこういう。
「正月ですからね。勉強しに集まってるわけじゃない。早坂さんは毎年、組合の新年会にいらっしゃいますよ。でも忙しいんでしょう、ほんの数分顔を出すだけで帰られます」
早坂都議の事務所に聞くと、「呼ばれたので出席した。本人が出ている会もありますし、秘書が代理で行っている会もあります。滞在時間の確認はできません」と説明した。
都議会事務局によると、案内状さえあれば会合への出席も政務活動費として認められる。都がそれを認めても、宴会回りばかりしている議員に飲み会経費を払っていることに納得する納税者は多くないだろう。
●取材協力/若林亜紀(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号