現在、“夏の甲子園”の予選が全国で行なわれている。高校野球の大きな魅力といえば、弱小校による下克上や、強豪校のまさかの敗戦などの「大番狂わせ」。栃木県で起きた番狂わせを紹介しよう。
栃木が生んだ作新学院の怪物・江川卓は3年時こそ春、夏と甲子園に出場しているが、1、2年時は涙をのんでいる。1年の夏は準々決勝(烏山戦)で完全試合を達成。準決勝(宇都宮商戦)でも無失点投球を続けたが、延長11回で降板。その後にリリーフ投手が打たれて甲子園出場を逃した。
2年時も3戦連続ノーヒットノーラン(うち1試合は完全試合)を達成。だが準決勝(小山戦)では延長10回2死までノーヒットピッチングを続けながら、延長11回裏にサヨナラスクイズで敗れた。
江川を擁しながら2年連続で甲子園出場を逃したことで、当時の作新学院監督は更迭されたという。怪物をもってしても甲子園出場は至難の業なのである。高校時代の江川は「1年でも2年でも記録を作った後に負けている。記録は作らないほうがいい」と敗戦の弁を語っていた。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号