日本の電機メーカーの業績をごぼう抜きし、世界有数の企業に躍進したサムスンだが、そのサムスンの下請け工場で、幼い子供が過酷な労働を強いられていたことが発覚した。7月25日発売の週刊ポスト(8月8日号)が報じている。
同誌によると、中国でグローバル企業の下請け工場の労働実態を監視・調査するNPOのチャイナ・レイバー・ウォッチ(CLW)が、中国・広東省でサムスンのスマホの外カバーや部品を製造する「新洋電子」の工場を覆面調査したところ、工場のラインで16歳未満の児童が少なくとも5人働かされていたことが発覚したのだという。
CLWがそこで働く子供たちへのインタビューを行なったところ、彼らは夜8時から朝8時半までの深夜勤務で、1時間の食事休憩を除くと10分休憩が3回あるだけ。昼夜逆転の11時間労働の実態が明らかになった。さらにそれだけ身を粉にして働いている子供たちの時給は7.5人民元(約120円)に過ぎず、同じ工場で成人が働いて得られる額の3分の2に過ぎなかったという。
CLWのプログラム・コーディネーターを務めるケビン・スレイタン氏は、同誌の取材に対し、「今回、不正が発見された新洋電子はサムスンの下請けの中で特殊な例ではありません。サムスンは変動する需要に即応するため下請けに短期間で、しかも低価格で部品を納めるよう求めます。つまり彼らは利益のために労働者の権利や法の遵守を置き去りにしているということです」と語っている。
なお、この告発レポートが発表された5日後に、サムスンは一時的に新洋電子との取引を停止したというが、過去に同様の告発を受けて内部調査が行なわれた際には、状況が何も変わらなかったとCLWのレポートには記されているという。