ろくでなし子氏(42)が「わいせつ電磁的記録頒布」で逮捕された事件。女性器をかたどったカヤック「マンボート」の制作資金を拠出してくれた出資者に女性器の3DデータをダウンロードできるURLをメールで送付したことが罪にあたるとされた。
そもそも、なぜ警察はろくでなし子氏に目を付けたのか。女性器の模型という点では、アダルトグッズショップに行けば、AV女優などの女性器をリアルに再現したと謳うグッズがいくらでも陳列されている。
「3Dプリンターという新しい技術が出てきたので、警察は『これは取り締まらないと』と判断したのでしょう。3Dプリンターで拳銃を製造した事件が世間を騒がせたばかりなので、世論を味方にできると考えたのかもしれません。
それと並行して、昨年7月にはコアマガジンの取締役らが男女の性器写真を掲載した雑誌を販売したとしてわいせつ図画頒布で逮捕されており、警視庁保安課がわいせつ規制を強めているのは間違いありません」(警視庁担当の全国紙記者)
今回の逮捕で露呈したのは、わいせつ基準が曖昧なまま、捜査当局の主観で一般市民の自由を奪い、刑事責任を問おうとするこの国の異常な姿だ。
「わいせつ規制」という名の下に、表現の自由への介入が平然と行なわれているのだ。さらに、そうした公権力の暴走に疑問を持つことなく発表内容を垂れ流す報道機関は、表現の自由の規制に加担していることに気づいていない。
本当に公益のために性表現を規制するというのであれば、何がわいせつで何がそうでないかを国会で堂々と議論し、法制化することでわいせつの定義を明確化するのが筋である。
今のような曖昧な基準で、表現者が当局の恣意的な判断で逮捕されることが続けば、今後も海外から「日本は先進国とは呼べない」という不名誉な評価を受けることになるだろう。
※週刊ポスト2014年8月8日号