夏の風物詩のひとつであるビアガーデン。とりたてて疑問を持たずに、提示されるセット料金をそのまま払うことが多いが、果たしてそれはお得なのか。ジャーナリストの鵜飼克郎氏が、ビアガーデン攻略法を報告する。
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「近年の猛暑によるビアガーデン人気と女子会ブームが重なり女性客が急増しています。店側も儲かるため期間を拡大し、4月から秋口の10月まで半年以上営業している店もあるほどです」
そう話すのは、ビアガーデン評論家で「東京ビアガーデン制覇クラブ」主宰の樫原叔子さん。このクラブでは、ビアガーデンを「屋外で80席以上あり、年間90日間以上営業している店舗」と定義。現在、都内には3年前の倍となる60か所のビアガーデンが乱立し、その多くが女性をターゲットにしているという。
「3年ほど前、都内のデパート屋上に美味しい料理を売りにしたビアガーデンが登場し、女性客で連日大入り満員となりました。この影響でどの店も女性を意識するようになった。枝豆やから揚げをつまみながらビールを煽る“オヤジビアガーデン”は激減し、ドリンクを数多く揃え、イタリアンやデザートまでも提供するビアガーデンが珍しくなくなったのです」(樫原さん)
都内のビアガーデンは飲み放題・食べ放題(2時間)で4500~6000円が一般的。5年前と比べて2000円近く値上がりしている。
「数年前までビアガーデンは2500~3000円で飲み放題・食べ放題の店が多かった。財布の中身を気にせずビールが飲めましたが、食べ放題メニューが豊富になって料金も上がってしまった」(50代の会社員)
では、ビアガーデンではどれぐらい飲んで食べれば元が取れるのだろうか。まず、生ビールについて飲食店関係者に聞いた。
「業務用15リットル9000円のビア樽なら中ジョッキ(430ミリリットル換算)で35杯、大ジョッキ(840ミリリットル換算)なら18杯分とれる。1杯あたりの原価は中ジョッキが約260円となるので、ビールだけで元を取ろうとすれば20杯近く飲まなければならない。チューハイやソフトドリンクの原価はさらに安く、生ビールの10分の1程度になる」
2時間という制限時間を考えると、かなり厳しい数字だ。
また、料理についてもこんな話が聞けた。
「ビアガーデンは雨が降ると中止となり、暑いと予想以上の客が来るので客足が読みづらい。そのため自然と冷凍食品が多くなる。定番メニューの原価は、鶏のから揚げが5個で40~50円程度。枝豆は冷凍ものなら1皿50円程度だ。
ホテルのビアガーデンは宴会場やレストランと連携しているので比較的、高価な食材を使った料理が多いが、それでも5000円分を食べるのはほぼ不可能。食べ放題のビアガーデンでは、フルーツやデザート類の原価が最も高い」(ビアガーデン関係者)
※SAPIO2014年9月号