夏の全国高校野球選手権大会がまもなく開幕する。今年で96回目を迎える夏の大会、長い歴史を数字で分析していくと、“わが郷土の代表校”の意外な姿が見えてきた。
本誌は1915年の第1回大会から前回(第95回)まで、夏の甲子園の都道府県別成績を集計した。
勝率1位は優勝5回を誇る古豪・松山商がある愛媛の.650。同校は夏に滅法強いことから「夏将軍」と呼ばれるが、この異名はダテではなかった。以下大阪.649、神奈川.632、和歌山.618、広島.613と続く。一方で不名誉なワースト1位は山形の.274。未だ東北に優勝旗は渡っていないが、それを裏付ける結果だ。
『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)の著者で野球データに詳しい広尾晃氏がいう。
「山形と宮城は夏の甲子園で勝利した学校が4つしかない。東北は宮城と青森以外は勝率ワースト10に入る。逆に大都市圏や野球王国の関西と四国がベスト10に入り、圧倒的に強い」
注目したいのは公立・私立校の分布である。地方では現在も公立優勢の状況が見えてくる。これまでセンバツも含めて一度も私立が甲子園に出場したことのない徳島のほか、富山や秋田でも、公立が私立を圧倒している。
都市部を中心に、近年は野球留学などで有力選手を集める私立校の優勢が目立っていたが、その状況にも変化が起き始めているという。「ここ数年、全国的に公立復権の傾向が見られ始めました」と語るのは、野球史研究家の森岡浩氏だ。
「不況や高校無償化などの影響で公立を選択する生徒が増加したためです。今年の地方大会では、強豪私立が公立に負けるケースが目立ちます」
※週刊ポスト2014年8月15・22日号