食器洗いや洗濯、掃除などに、エプロンを着けて機嫌よく取り組んでいる夫。そこへ妻がこんな一言を投げ掛ける。「お皿洗い、ありがとう。一応、もう一度洗っとくね」「あなたが(服を)たたむと、ヘンな跡がつくの」。自分の仕事を全否定され、夫の表情が凍りつくところで映像は終わる──そんなヘーベルハウスの「家事ハラCM」が話題だ。
洗濯編や掃除編など7パターンあるが、なかでも夫たちにショックを与えるのは「いいのよ、頼んだ私のミスだから」という妻の台詞だ。
このCMは旭化成ホームズの「共働き家族研究所」が実施した「共働き夫婦の意識調査」で集まった実例をもとに制作された。夫の家事に、妻が必要以上にキツい言葉でダメ出しする行為をここでは「妻の家事ハラ」と呼んでいる。
調査結果では、家事を「手伝う」夫は9割を超え、そのうち約7割の夫が家事ハラを受けた経験があると答えた。同社が公式サイトでこのCMや調査結果を発表するとインターネット上で論争に。
「妻があまりにもひどすぎる」と夫に同情的な声の一方、「家事は妻が行なうという前提がおかしい」「そもそも『手伝う』という感覚から違う」「夫が家事をしないのは妻のせいだと言わんばかりだ」と批判の声が寄せられ波紋が広がっている。
『家事する男の作り方』(出版文化社刊)の著者、百世瑛衣乎(えいこ)氏はこう指摘する。
「妻が毎日食事を作るなか、夫は週1回洗い物をするだけで、家事をよくやっていると思ってしまうこともある。男女の意識に大きな乖離があるのです」
※週刊ポスト2014年8月15・22日号