行方不明となった飛行機の乗客の銀行口座から預金が引き出される事態が発生している。拓殖大学教授の富坂聰氏がレポートする。
* * *
ウクライナ上空で民間航空機が撃墜されるという衝撃的なニュースにより、つい忘れられがちとなったもう一つのマレーシア航空機事件。2014年3月8日未明、乗客乗員239人を乗せたまま消息を絶ったMH370のことだ。
370便の行方不明事件では、各国の協力の下でおこなった機体の回収作業が思うようにはかどらなかったことから迷宮入りの度を深めている一方で、さまざまな陰謀説が飛び交うようになってきている。
そんな折も折、中国の英字紙『チャイナ・デイリー』が驚くべきニュースを伝えた。そのタイトルは、〈行方不明のマレーシア航空370便の乗客の銀行口座から密かに金が引き出されている〉だった。
記事は、『ベトナム青年報』やシンガポールの『ストレイト・タイム』が8月14日付で報じた内容を受けたもので、MH370に乗っていた乗客239人のうち4人の乗客の銀行口座から何者かが勝手に預金を下ろしていたという事実を淡々と伝えている。引き出された金額の合計は4万3419ドルに上っているという。
またマレーシアで経済犯罪を取り締まる当局者も問題を認め、金がATMから引き出されていることを公表している。
事実とすれば、一体誰が、ということだが当局は目下銀行内部に疑いの目を向けているようだ。銀行からの報告では、引き出された日付は7月18日。今度こそ問題をうやむやなまま終わらせないでほしいものだ。