1980日という歴代最長の大臣在任期間。慶応大学教授、シンクタンクの所長、産業競争力会議民間議員にして人材派遣会社・パソナ取締役会長。様々な肩書きを持つ竹中平蔵氏は、長く政権のブレーンとして日本経済に影響力を持ってきた。そして毀誉褒貶も相半ばする。竹中氏が長く政権のブレーンとして推進してきた規制改革はパソナへの利益誘導ではないのか。ジャーナリストの須田慎一郎氏が斬り込んだ。
須田:閣僚を外れてから本業の経済学者に戻ったが、2007年になってパソナの特別顧問になり、2009年には会長に就任した。なぜか。
竹中:一言でいえばパソナ社長の南部靖之さんとの個人的な信頼関係です。政府の仕事が終わった時に南部さんから「会社の全体の方向性について、いろいろ助けてほしい」といっていただいた。南部さんに「私を会長にしたら、パソナがいわれなき批判を受けるかもしれませんよ」と伝えたら、「そんなものは構わない」という。それでお引き受けしました。
須田:具体的にはパソナでどんな仕事をしているのか。
竹中:取締役会長ですから、経済の大きな方向性を説明しながら、会社全体としてどう向き合えばいいのかなどとアドバイスする立場です。
須田:人材派遣大手のパソナ会長でありながら安倍政権では産業競争力会議の民間議員となり、雇用規制緩和を議論するのは利益誘導ではないか。
竹中:それは違います。そもそも私はパソナ会長としてではなく、経済学者としてメンバーに入っています。業界を代表して産業競争力会議に入っているわけではありません。
ローソン会長だった新浪(剛史)さんもコンビニ業界を代表して入ったわけではないし、三木谷(浩史・楽天会長兼社長)さんもIT業界を代表しているわけではない。あくまで有識者として議論しているのです。
もちろん利益相反にならないような配慮は必要です。だから私は雇用問題や労働問題の分科会の主査にはなっていません。メンバーの一人として意見はいいますが、民間議員には決定権はありません。
※週刊ポスト2014年8月29日号