夏休みもまもなく終わる。40代お父さん記者の子供たちは、まったく宿題に手をつけず遊び呆けてきた。夏休み終盤の「パパ、手伝って!」は恒例だ。7月からあれほど「宿題はやってるのか」と釘を刺してたのに……と思っても後の祭り。
魚心あれば水心というほど艶っぽい話でもないが、困っている親があれば、そこに手を差し伸べる者もある。最近、ネットを中心に静かに広がる新商売が「宿題代行業者」だ。 インターネットで「宿題代行」と検索すると、すぐにたくさんの業者が見つかった。
〈読書感想文1枚3000円~〉
〈絵画1枚4000円~〉
HPにはそんな料金表が掲げられている。日記や自由研究、工作などを受けつけている業者もある。
〈作文を書くのは学生のアルバイトではありません。作文添削のプロが担当いたします〉
〈算数・数学のわずらわしい苦手な問題。そのたった1問でもご依頼可能です〉
など売り文句も様々だ。まず、記者の中学1年生の息子が頭を抱えていた「読書感想文」と「夏をテーマにした水彩画」を依頼してみた。
違法ではないにせよ、やはり少し後ろ暗いものなのか、電話番号を公開している業者は少なく、メールで連絡する。料金表を見て手頃な業者にアプローチしたが、3社連続で「手一杯で受けられない」という回答が届いた。繁盛しているようだ。
片っ端から依頼していくと、6社目でようやく引き受けてくれる業者が見つかった。緊急の依頼ということでHPの料金表に若干上乗せされ、「読書感想文(本の指定なし)が原稿用紙5枚で1万円、水彩画が8000円」と提示された。
決して安くないし、本当にきちんと作品が届くか不安に思っていると「料金は現物が届いてからの後払いでいい」という。業者から「絵は中学生らしくしますか、それとも良い作品にしますか」と質問が来たので「中学生らしさがありつつ、少し優秀な感じにお願いします」と依頼した。
3日後に郵送されてきた原稿用紙には、中学生らしい字で『走れメロス』の感想文が記されていた。内容も、ほどよく中学1年生レベルに合わせているように見える。ただ、せっかく手書きで書いてくれたが、子供の字と明らかに違えば書き直しは必要だ。
一方の水彩画は広大なヒマワリ畑が丁寧に描き込まれた力作。リクエスト通り上手に描いてくれたが、万が一コンクールに出すなんて先生が言い出さないか不安にもなる。
※週刊ポスト2014年9月5日号