視聴率不振に喘ぐフジテレビが、6月27日付で全社員1500人中1000人に及ぶ人事異動を行った。亀山千広・社長がこの「1000人異動」について「視聴率奪還のため」と説明しているように、この人事を受けてフジでは10月から「番組大型再編」がスタートする。
たとえば、改編の目玉として、タモリの新番組がスタートすることがわかっている。『笑っていいとも!』終了後半年ぶりのフジ復帰で、注目度は高い。
放送枠は明らかにされていないが、「第1候補は日曜の夜。『新堂本兄弟』の後釜となる可能性が大」(フジ社員)という。
『新堂本兄弟』はフジを代表する音楽バラエティだ。前身の『LOVELOVEあいしてる』から数えれば実に17年の歴史を持つ長寿番組で、『全部抱きしめて』などヒット曲を生み出してきた。しかしスポーツ紙などではすでに「打ち切りが濃厚」と報じられている。
これは、フジテレビの音楽番組を担ってきた通称『音組』と呼ばれるチームのトップだったきくち伸氏が総合開発局に異動したことが関係しているという。
「いつも“女装か!”とツッコミたくなるような服装で歩いている彼ですが、芸能界に顔が広い。彼だからこそ実現できる大物のキャスティングもたくさんあったんです。だけど、総じて数字(視聴率)が取れていない。リスクもあるけど、上層部は彼を外すことを決めた」(フジ社員)
きくち氏の異動にはこんな話も聞こえてきた。彼はブログで番組の内容や自身の活動について盛んに発信しているが、昨年、大手芸能プロダクションが看過できない発言があったというのである。
「きくちさんは、看板番組の『MUSIC FAIR』で“口パク”のアーティストを使わないと宣言したんです。彼は“歌手であるからには、普通に歌えることが絶対条件だから”というのですが、芸能界には、口パクが蔓延していますからね……。“面倒なこといいやがって”と舌打ちした関係者がかなりいたようです」(芸能プロ関係者)
それが音楽番組から外された理由というのは、いかにも業界人が好みそうな噂話にも聞こえるが、ひとりの異動がここまで芸能界に波紋を及ぼすとは、フジの人事はなかなか奥が深い。
※週刊ポスト2014年9月5日号