今、保護者の間で「宿題代行業者」が人気だという。代行業者に依頼経験のある都内に住む女子中学生の母親はこう語る。
「美大生が絵を描いてくれるという業者に依頼したことがあります。その時は娘が過去に描いた絵を送って、同じタッチで少しだけ上手な作品をオーダーしました。私が見ても本人が描いたかと思うような絵がきました」
小学6年生の男児の親はこんなリクエストをした。
「算数のプリントを依頼しました。息子は決して算数が得意なほうではないので1割くらいわざと間違った答えを混ぜてもらいました」
保護者の要望はかなり聞いてくれるようだ。納期もかなり無理がきく。業界大手のアイブックス学術代行代表・小泉聡史氏はこう語る。
「当社は今までの代行実績を学年別に保存しているため、依頼に合わせて既存の作品に加筆修正することですぐ納品できます。読書感想文や絵日記なら1日で納品することも可能です」
子供が書いた作文のように見せる工夫を、別の代行業者がこう語る。
「学年ごとに習う漢字は把握していますので、文中にお子様が習っていない漢字が出てこないように気をつけています」
難しいのは作文の筆跡だ。アイブックス学術代行をはじめ、サンプルを送れば似せて書いてくれるサービスはあるが、チェックする教師の目も節穴ではない。今回、取材した複数の教師は「毎日生徒の文字を見ていますから、明らかに業者の作品とわかるものがある」と口をそろえた。
当たり前のことだが、宿題は自分でやらなければ何の意味もない。
※週刊ポスト2014年9月5日号