人口減少や若者の「保険離れ」などの影響で死亡保障をメインとする保険商品のニーズが薄らぐ中、第3分野と呼ばれる医療保険、とりわけ「がん保険」に対する注目度は高い。
がんが身近な病気になったことと、治療期間や費用に対する不安感が蔓延していることがその背景にある。
がん保険は国内・外資系生保を問わずさまざまな商品が登場しているが、販売シェアを見てみると、米アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が7割以上を誇り、まさに“一強百弱”の状況となっている。
しかも、アフラックは日本郵便やかんぽ生命保険を傘下に持つ日本郵政グループ(JP)と業務提携しており、この10月からは“郵便局オリジナル”のがん保険(新 生きるためのがん保険Days)まで販売する。
この発表を受けた生保各社は一斉に警戒感を強めている。
「郵便局に抱く消費者の知名度や安心感は絶大。手持ち資金に余裕のある中高年の顧客も多いため、保険料にかかわらず、通常の郵便業務のついでに保険のパンフレットを広げて勧誘すれば、『じゃあ1本かけておこうか』と加入する人は増える。それを全国2万局でやられたらたまらない」(国内生保幹部)
JP専用のがん保険は、従来アフラックが扱ってきたがん保険の保障や特約内容を削ることで保険料を安くしたのが特徴だ。月払いの保険料は、例えば男性40歳で2382円と手ごろながら、「診断給付金」「通院給付金」など、がん保険の“基本”をきっちりカバーしている。
「これまでがん保険といえば、治療方法や入院日数によって細かく条件が定められていて、がんになっても保険金の下りる対象に該当されないケースも多かった。でも、いまは長期間入院する患者は少ないし、保険のきかない先進医療が必要になるかも分かりません。
そのため、がんと診断されたときにまとまった保険金が支払われ、余計な条件や特約を省いたシンプルながん保険が人気になりつつあるのです」(保険評論家の大地一成氏)
たとえば、AIG富士生命保険の「がんベスト・ゴールドα」が、がんと診断確定された時点で最高300万円の一時金を受け取れる仕組みとなっているほか、アクサ生命保険や楽天生命保険でも安い保険料で分かりやすい商品を次々と販売している。