長さが調整できる伸縮リードで飼い犬の散歩をする人が増えているが、あのリードは危険だという指摘も多い。犬のしつけ教室・Can! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導する西川文二氏が、伸縮リードの開発目的を理解せずに使用するから危険なものになっていると解説する。
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リール仕掛けになってて長さを調節できる伸縮リード。
便利っちゃぁ便利だけど、アレ操作に慣れが必要。突進させたくないときや、一定の距離以上離したくないときには、ストッパーで止める。とっさにそれができないと、他人に危害を加える事もある。
こんな話をするのも、教室の近くのS公園で先日、伸縮リードをつけた犬が子供に突進、噛んだっちゅう事故があったから。
常にリードがたるまないよう扱えないと、飼い主が痛い目に遭うことも。離れた状態でストッパーをかけ、そのまま犬が戻ってくれば、リードは数メーター分たるんだままの状態となる。そこでストッパーを外すと、一気にシュルシュルと紐が収納される。リードは暴れる龍が如く。飼い主や犬が鞭うたれ、怪我を負う結果となる。
そもそも、その元祖が産声をあげたのはドイツ。リード無しでのお散歩を目指して、子犬の時期からトレーニングをする。そんな文化の中で育まれた。呼べば来るから、本来はリードなんかなくてもいいんだけど、万が一のことを考えて、ってんで考案された。
日本は違う。犬があっちゃこっちゃ行きたがって、引っ張る。いちいちつきあうのも大変。伸縮リードなら飼い主も楽だし、犬も喜ぶだろうって、使ってる。
私めの教室で導入するのは、飼い主がマナーをある程度理解し、オイデやマテなどの基礎的なトレーニングが済んでから。それも、いきなり犬につけるのではない。まずは家族の誰かにリードの先端を持たせて急にダッシュしてもらったりして、ストッパーの掛け方などを人間相手に練習してもらう。
冗談じゃない、カミさんにそんなこと頼んだ日にゃ……ですか? うーん、何かしらの交換条件を提示するしかないですかね。多少高くついても、安全のためですからね、安全の。
※週刊ポスト2014年9月5日号