「景観保護」や「防災対策」を目的として“日本中から電柱をなくす”計画が本格始動した。地中化にはもちろんメリットもデメリットもあるけれど、そもそも電柱って誰のものなのだろうか?
全国各地に立っている電柱の総数は約3500万本で、その9割が電力会社とNTTの所有物だ。NTT東日本と西日本で1184万本(2012年末現在)、電力10社で2153万本(2013年度)所有している。その他にソフトバンクなどの通信事業会社が所有している場合もある。NPO法人「電線のない街づくり支援ネットワーク」事務局長の井上利一さんが解説する。
「電力会社の電柱を『電力柱』、NTTの電柱を『電信柱』といいます。大抵は、背が高いほうが電力柱、低いほうが電信柱です。ケーブルテレビや有線などは、電柱を借りているということになるので、使用料を支払っています」
有線放送大手のUSENは電柱1本あたり約2000円の使用料を払っているという。電柱の役割は電力線や電話回線を各家庭に引くことにあり、歴史は明治時代にまで遡る。
「初めて建てられた電柱の場所はわかりませんが、電話が始まる前に電信という文字のやり取りができる仕組みがあり、明治2年に東京~横浜間で電信線架設工事に着手したと記録が残っています。その頃初めて電柱が建てられたと思われます」(NTT東日本広報室)
電柱には長さや太さにいくつも種類があり、価格はそれぞれ異なる。目安の価格を聞いた。
「平均的なコンクリート製の電柱で約7万~8万円。また、設置には約30万円かかります」(井上さん)
※女性セブン2014年9月25日号