ぜんそくは、子供の病気と思われがちだが、実は圧倒的に成人の患者が多い。子供のぜんそくはアレルギー反応によるアトピー型がほとんどだが、成人では約半数が非アトピー型だ。近年、気道の炎症はやや弱いが、咳が続いてしまう、ぜんそくの前駆状態ともいえる咳ぜんそく患者も増えている。
ぜんそくは、空気の通り道である気道が慢性的に炎症を起こして過敏になるために症状が起こり、次第に気道が肥厚し、狭くなる。例えば暑い外から冷房の効いた室内に入る、台風接近による気圧の変化、ダニやホコリ、タバコの煙や香水の強い香りなど様々な刺激で症状が起こる。国際医療福祉大学教授で山王病院アレルギー内科の足立満医師に話を聞いた。
「気道が炎症を起こしているところへ風邪のウイルスが入り、呼吸困難などの発作の引き金になることもあります。かつて多くの方がぜんそくで亡くなりましたが、2012年に、ぜんそく発作による死者数が初めて2000人を切り、20年前の約3分の1になりました。これは薬など治療法の革新が大きな要因です」
ぜんそくは、治療薬で一時的に症状が消失したとしても治ったわけではない。コントロールが難しい重症患者に対しても、ぜんそくの発症や増悪に関わるアレルギー反応を抑制する抗IgE抗体薬ゾレアRも、保険承認され効果を上げている。ぜんそくは症状に応じて、根気よく治療を続けることが肝心だ。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2014年9月19・26日号