70年ぶりに国内感染が確認され、9月13日現在の感染者が115人にも拡大しているデング熱。17都道府県にまたがっている感染者のうち99人は代々木公園を訪れていたことが判明している。
代々木公園は現在も閉鎖されたままだが、専門家の間では今、「最も危険なのは“隣の地”ではないか」という話が囁かれている。東京都のある公衆衛生業者が声を潜める。
「蚊の発生源は、代々木公園ではなく、隣接する明治神宮ではないか、という説があるんです。代々木公園の森とつながっているうえ、池も多く、水源が豊かで、デング熱を媒介するヒトスジシマカが発生しやすい環境が、代々木公園以上に揃っているんです」
現在、明治神宮は代々木公園と隣接する区域だけを閉鎖しているが、そんなレベルでは対応できないほど、すでに境内にはヒトスジシマカが大量に発生している可能性があるのだという。
女性セブン記者が明治神宮に取材に行くと、代々木公園に近い西側の通路は通行止めにされていたが、正門からは外国人観光客も含め、数多の参拝客が、途切れることなく訪れていた。
そして、境内の中で最も参拝客が賑わっていたのは、パワースポットとして有名な『清正井』だった。安土桃山時代の伝説の武将・加藤清正が掘ったとされる井戸で、この清正井は都会では珍しい湧水である。
「清正井は、水神様がいらっしゃるといわれ、明治神宮の中でも特にパワーが強い場所です。金運や仕事運、恋愛運などさまざまな開運スポットとして知られています」(風水師の生田目浩美さん)
だが、この日、清正井に通じる御苑の受付には、「ご参拝の皆様へ。蚊に刺されぬよう長袖・長ズボンを着用して、肌の露出を避けてください」という一文と共に、虫除けスプレーが5本置かれていた。
「実は今、境内におけるヒトスジシマカの発生場所のひとつとして、この清正井があげられているんです」(前出・公衆衛生業者)
神宮側もそれをわかっており、参拝者に注意喚起しているというのだ。蚊の専門家で害虫防除技術研究所の白井良和氏もこう解説する。
「確かに、明治神宮は自然が多いので、羽化した成虫が集まる快適な環境になっています。もし清正井が蚊の発生源なのだとしたら、井戸の水を抜いて干上がらせ、薬剤を散布した上で清掃した方がいいでしょうね…」
だが、有名パワースポットであるがゆえに、難しい面があるのだという。
「なにしろ、清正井は、明治神宮の中でもある種の“聖域”になっていますし、多くの来場者は、このパワースポット目当てで来ています。専門家の言う通り、本当は井戸の水を抜いて対処しなければいけないのですが、神宮側としても、それが簡単にはできないんです」(明治神宮関係者)
※女性セブン2014年10月2日号