「空の規制緩和」で一気に増加した新規参入により、各航空会社のCA(キャビン・アテンダント)の制服も百花繚乱の時代を迎えている。色とりどりのCAの制服には、それぞれどんな意味が込められているのか?
1998年まで日本航空業界はJAL、ANA、JASの寡占状態が続いていたが、その後の規制緩和で新規参入が相次いでいる。LCC(格安航空会社)の世界的な普及の流れもあり、2012年には国内LCCが相次いで就航。新興の航空会社は制服も大手に比べて色使いが明るいのが特徴だ。
「JALは赤、ANAは青というブランドカラーが定着している中で、新たに参入した国内LCCはピンク、オレンジ、ライトブルーなど目立つ色を制服に配して存在感をアピールしています。空港内でも一際目を引く存在です」(航空評論家・青木謙知氏)
世界に目を広げても同様の潮流がある。アジア最大のLCCとして知られるのがマレーシアに拠点を置くエアアジアだ。
「トニー・フェルナンデスCEOは、リゾート路線が多い同社に明るいイメージを定着させるために、あえて真っ赤なタイトスーツを導入しました。日本でも一時期ANAとの合弁会社を設立していましたが、昨年に撤退。ただし楽天などをパートナー候補に再参入に向けて動いています。日本の空港で同社の制服が再び見られるようになるかもしれません」(同前)
世界各国で、空の旅を快適にするために制服には工夫が凝らされている。四川航空のチャイナドレスやシンガポール航空のサロンケバヤなど、民族衣装を用いた制服は人気が高く「わざわざその路線に乗るために旅の経路を変える愛好家もいるほど」(業界関係者)という。
現在、世界には「スターアライアンス」「スカイチーム」「ワンワールド」という3つの航空連合があり、同一アライアンス内の便を使えば、マイルやポイントが加算される(JALはワンワールド、ANAはスターアライアンス)。
身体のラインが強調される制服が人気のようだが、香港に拠点を置くキャセイパシフィック航空では、「制服がセクシーすぎて業務に支障を来す」とCA組合が制服の変更を会社側に求める騒動も発生した。
※週刊ポスト2014年10月3日号