ヤリイカ、スミイカ、アオリイカ……。東京湾は美味しくいただけるイカの宝庫だが、神奈川・三浦の京急油壺マリンパークで9月13日から公開されたのはなんと東京湾で獲れたダイオウイカ。体長4メートル38センチの“謎の生物”は今年3月に神奈川・横須賀沖で捕獲された。
日本海側ではまれに水揚げされるが、東京湾などの太平洋側は水温が高いため海面近くに現われることが珍しく、捕獲されたのは実に約40年ぶり。
「今回は生後1年で人間でいえば中学生くらいの小さいメスですが、生け捕りだったので大変貴重です。残念ながらすぐに死んでしまいましたが、8月に行なわれた公開解剖では墨が体内に大量に残っていることがわかりました」(飼育部・天田未貴氏)
実はこの墨が、ダイオウイカの生態を解明するうえでの新発見だという。イカは敵から身を守るために墨をはくが、深海は真っ暗なので墨は必要ない。墨があるということは、若いダイオウイカは光が届く比較的浅いところに棲んでいる可能性があることがわかったのだ。“江戸前ダイオウイカ”はまだまだ海の中に潜んでいるのかもしれない。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2014年10月3日号