約70年ぶりに国内感染が確認されたデング熱だけでなく、アフリカで流行するエボラ出血熱など、感染症に関するニュースに、日本中が脅えている昨今。もはや、「海外の遠い国のこと」「日本は島国だから安全」などとは言っていられない状況なのかもしれないが、それでもやはり海外から国内に入ってくる経路は遮断してほしいもの。
しかし、「日本の感染症対策はまったく不充分」というのは、元厚生労働省技官で医療法人財団綜友会医学研究所所長の木村盛世さんだ。
「日本で新型インフルエンザが流行ったときに政府は『水際で食い止める』と言いましたが、そもそも水際の定義がはっきりしていない。水際とは空港の検疫なのか、国内外のラインは検疫所か、入国審査のところか、税関なのか。
エボラ出血熱に関しても、『アフリカは遠い土地だから大丈夫』などといわれていますが、今や飛行機に乗れば48時間以内に世界中移動できてしまう。
また、空港検疫所で阻止できるといいますが、どんな感染症にも潜伏期間がある。中東でトランジットして潜伏期間内に日本に入国して、国内で感染拡大する可能性は否定できない。同じ理屈で世界各地で同時多発的に発症ということも考えられる。今や感染症に国境はないんです」
2009年に新型インフルエンザが発生した際には、空港検疫所での検査を厳重にするなど水際対策がとられたが、その後の検証報告会で専門家からは、「感染者の半数かそれ以上は水際での検疫をすり抜けて入国したとみられ、効果は限定的だった」という指摘が相次いだ。木村さんは中国との間で渡航者が増えていることに注目している。
「日本に入ってくる感染症は中国からやってくるといわれています。日本と中国の行き来が増加した昨今では、どんな病気がいつ日本に入ってきてもおかしくありません」
※女性セブン2014年10月2日号